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【連載】大石孝次の「音楽な日常」第96回

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夏にお似合いの切なさは

少年時代、夏休みには決まって封切りの邦画がありました。
休み時期に合わせて、少年〜青年向けの作品が数多く封切られるのです。
夏休みマンガ祭り、特撮モノ、アイドル主演作品、青春冒険物、大型作品などなど。

時は移り、最近はそういう風な夏休み当て込み作品は少なくなりました。
それでも、ティーンから上の層向けの青春恋愛作品は多く見受けられます。

夏休みに封切りと言う訳ではなかったと思いますが、ここ最近続けて観た作品を紹介します。

女性がターゲットになっている作品にある一つの傾向として、昔から伝統的に続いている作風があります。
古くは「愛と死をみつめて」大文芸作品であり、ドラマや映画化をされました。
これに近いストーリーが盛り込まれたのが「巨人の星」の後半にみられました。
それはヒロインが病に倒れてしまうストーリー。

10年前辺り、やたらと同じような設定のストーリーものの小説が増えました。
病気の主人公を流行りと混同している作家の多さに、アイディアの浅さばかりが目立った時期がありました。
簡単過ぎて単純すぎて稚拙な世の傾向を憂いましたね。

そんな中にあっても、そういう作品を多く生ませたきっかけになった作品は、大きな力を持っていました。
たまたまそんな映画を続けて観ました。

1つは「世界の中心で、愛をさけぶ」。
ほぼ自分と同世代の設定の少年達の夏の思い出。
シンクロする風景や感情にシンパシーを感じる部分が多かったです。
封切りで映画を観た時は、少年時代を振り返る立場になっていたので、大人になった主人公とリンクしていました。
幅ひろい年齢層に支持された理由は、全てのひと老若男女のどの立場の人が見ても、登場する主人公2人のいずれかの時代にシンクロする事が出来たからです。
久しぶりに「せかちゅー」を観ましたら、今度はその主人公たちを俯瞰して観られる自分を見つけました。

そしてもう1本は「君の膵臓をたべたい」。
原作の小説を読んだ時はあまりピンとこなかったのですが、映画は非常に上手く原作の良い香りを出していました。
青春といえる画の力強さ、キャストの見事なはまりかたは秀逸です。
話の内容よりもキャストを眺めているだけで満足のいく滅多にない作品だと思います。
誰しもがこのキャストで自分の映画を作りたくなるわけですね。

この2作が今年の夏を彩る青春ムービーとしてインプットされました。

病気が美しいことのように描かれるのはとても好きにはなれませんし、フィクションの設定として使われるのも楽しくありません。
もっとほかのチョイスだってあるはずなのに、などとついつい思ってしまいます。
しかし、この禁断の設定は古典的に感情がうつりやすく、永遠のヒロイン像の一つです。

ちょっと次元は違いますが、改めて見直したテレビシリーズ作品が「最終兵器彼女」。
この作品は衝撃的で悲しく切ない、救われる気持ちはどこにあるのか、そんなイメージの作品です。
悲しい現実だけが音を立てて主人公たちに降りかかってきます。
逃げたくても逃げられない、救われることの無い現実。
オンエア当時は、毎回胸が苦しくなり、つらさと共に続きを見続けなければなりませんでした。
何年振りかでこのシリーズを見直しました。
食事時に途中のストーリーを観てしまったら、いきなりのショッキングシーンに号泣しそうになってしまい、大慌てでテレビを消しました。

ネタバレはしたくありませんので、ぜひ実際にご覧になってほしい問題作です。

さて、夏も終わりを迎えようとしている今日この頃ですが、今年のこの狂った夏を締めくくるにはどんな曲がいいでしょうね。

声優の佐藤利奈ちゃんの1stアルバム「Sugar Sky」を制作してから随分と時が流れました。
もう14年も経ったのかと、改めて感じております。

この当時は作詞作曲の両方をやっていた曲が多かったです。
こちらのアルバムの最後の曲をお届けいたしましょう。
それではお聴き下さい。佐藤利奈で「Wandering the Sky」。

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