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【連載】大石孝次の「音楽な日常」第76回

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エンディングに待っているもの

ラジオ番組を制作していた頃の事について、ふと思い出したことがあります。

番組を制作する際、番組の仕様に関して様々なパターンを検討します。
番組の入り口であるオープニングはとても大切な「顔」にあたる場所。
そして番組のエンディングというのはもう一つの顔であります。

まずオープニングがフロントの顔です。
スタートに流れるオープニングテーマソングは、番組のカラーを決定づけるもの。
色々な要素を兼ね備えた導入として分かりやすいモノでなければいけません。
番組の趣旨に寄り添った曲。
パーソナリティが歌う曲。
オリジナルに制作したOP専用の曲。
パーソナリティやスタッフがセレクトした曲。
など、番組の始まりに相応しい曲が雰囲気を作り、そこに軽快なお喋りを乗せてスタートする。

ラジオ黎明期から深夜放送ブームなど70年代を飾った名曲が、ハーブ・アルパートの「ビタースウィート・サンバ」や「ジェットストリーム」での「ミスター・ロンリー」、「大入りダイヤルまだ宵の口」のアパッチの「東京アパッチ」。
このように番組に於けるオープニングのイメージとして強く印象に残りました。
テレビでは「水曜ロードショー」「金曜ロードショー」のオープニングのニニ・ロッソの「Wednesday night」やピエール・ポルトの「フライデー・ナイト・ファンタジー」など。
誰もが知っているイメージの曲というのが、長く残っていくものになります。

エンディングとなると、こちらもお別れの印象を効果的に使用するケースが多いです。
もちろん大騒ぎでお別れして、リスナーに寂しい思いをさせないやり方もあります。

少年時代に聴いていた「大入りダイヤルまだ宵の口」の中の番組「草刈正雄の空が少しづつ」、このコーナーが大好きでした。
テレビドラマ「華麗なる刑事」のロス役を演じている時期に、ちょうどこの番組は放送されていました。
草刈正雄ファンになった時期だったので、このラジオ番組はタイムリーでした。
一人語りのこの番組で、はじめて「大勢に向けて語りながら、自分の為に語られている」という錯覚を覚えたきっかけの番組です。

自分の兄貴は深夜放送にどはまりする世代でしたが、私はまだその年齢には達していませんでした。
しかし、小さなラジオにイヤホンをつけて、子どもが寝る時間になっても息をひそめてラジオを聴いていました。
自分と同じようなことをしていた友達が少数いましたが、やはりみな兄貴の影響を受けての事だったのを覚えています。

その番組「草刈正雄の空が少しづつ」のエンディングテーマが「空が少しづつ」という曲です。
最近、少年時代ぶりにこの番組を1本聴く事が出来ました。
10分の時間の中でオープニングトーク、CM、今日のお話、曲をまるまる1曲、CM、ポエム、エンディングトーク。
といった感じで、正雄さんのお喋りは最小限な感じなのですが、当時の番組製法としては規定な作りです。

その短い時間のお別れ、エンディングに流れるこの曲がとても印象的でした。
イントロが流れると「もう終わりかよ!」と心の中でがっかりの声。
歌の途中から正雄さんのお別れのお喋りが始まり、今日のひとことでお喋りは終わり、歌のサビがF/Iされて終了します。
終わった後になんともいえない寂しさを毎回感じておりました。純ですね。

このような番組の構成や作りを少年時代から自然と叩き込まれて育ったので、自分が作ったラジオ番組達は日本のラジオ業界における古典的手法のモノとなりました。
現在でもあたりまえに踏襲されている正攻法でありますが、時代も変わり今となっては古典でしかないのかもしれません。

自分が制作してきた番組で、番組の内容とは関わりがありませんが、自分の制作するエンディングテーマとしてこれほどまでに相応しい曲はないという曲があります。
2002年に活動していた「Lily of the Valley」というグループの「夏の日」という曲です。
※今活動している同名のアイドルさんとは全く関係ございませんので念のため。
このグループは男性ギターと女性Vo.のデュオで、その当時の音楽の相棒がプロデュースをしてCDを2枚程制作しております。

2ndシングルのリード曲が「夏の日」です。
この曲はまさに「心の情景」のような曲です。
何とも言えない思い出の残像のような物が目に浮かぶ、甘く切ない少年の日の想い出のような楽曲なのです。

自分の制作していたラジオ番組で何本もエンディングテーマで使用しておりました。
まさにエゴですが、これほどはまりの良い曲もないんですよね。

CMあけ、エンディングコーナーは曲先行でイントロのギターとすぐに追っかける歌から始まります。
Aメロ終わりからパーソナリティのお喋りが始まります。正雄さんパターンと全く一緒ですね。
エンディングコーナーはこの曲1曲分をまるまる使用します。
なので感想やおハガキ募集、次回の告知など全て詰め込みます。番組最後のお別れの言葉、その後に曲の大サビとなり、曲終わり一杯まで流して終了。

とにかくこの当時はこの手法を(週に1本です)使用した番組がありました。別の番組にEDテーマだけ引っ越す事もあります。
リリーはこのCD発売後に活動を停止してしまい、それ以降にこの曲を聴けたのは自身の制作している番組のみでした。

探しても聴く事も買う事も出来そうにない状況になり大変残念であります。
でも、またいつか自分がラジオ番組を制作する事があったなら、エンディングにこの曲を使用すると思います。
ですのでラジオ番組、どなたか発注して下さい。「夏の日」付きです。

という様な訳ですので、今回みなさんとエンディングに聴きたいと思います曲は…
草刈正雄で「空が少しづつ」。

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