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【連載】大石孝次の「音楽な日常」第112回

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珈琲をめぐる物語1

珈琲は嗜好品なので好き嫌いがハッキリしています。
苦手な方は全くダメだったり。
子供時分は苦味が苦手ですよね。
砂糖とミルクをたっぷりと入れてやっと飲むことが出来ました。

子供のころ普段は紅茶に砂糖とミルクを入れたミルクティーを飲んでいました。
同じタイミングで父と兄は珈琲を飲んでいて、それを見て自分も珈琲が飲みたいと言い出しました。
ささやかな背伸びですね。

慣れないうちは強めの味わいに抵抗感がありましたが、意地を張って飲み続けていました。
そのおかげか、小学校の高学年になるころには、すっかり珈琲派に傾倒するようになりました。

そんな折、横浜の馬車道に出かけた時に連れていかれたのがドトールコーヒー。
1980年に原宿に1号店を出店したドトールですが、早い時期に横浜にも出店されました。
1号店出店の翌年には出来ていたのではないでしょうか。

アメリカンスタイルのカフェがまだなかった時代です。先駆けのお店として開店しました。
横浜のオフィス街の中、しかも馬車道という商圏に出展されたのはセンスの良さを感じます。

珈琲1杯¥150で珈琲が飲めてカフェ空間が楽しめる。斬新でしたね。
当時の(現在は隣のビルに移転)馬車道店は内装が洗練されていました。
そんな場所を自分のお小遣いの中で利用ができるのは、なんと嬉しいことでしょうか。

中学時代は週末になると伊勢佐木町の有隣堂本店、尾上町のユーリンファボリとディスクユニオン、ディスクプラザ、東宝会館などをラウンド。
地下鉄に乗って関内までやってきては、いつものお馴染みコースを決まって回っておりました。
そこに新しくドトールがレギュラー化され「喫茶店で本を読む」という文化が追加されたのです。

広い店内は3層に分かれており、1階のスタンディングカウンター、奥のテーブル席、中2階のテーブル席、2階のテーブルと窓際のカウンター席。
何年間も利用していたのですべての席を利用しましたが、2階の窓際のカウンター席がお気に入りでした。
ここは唯一馬車道を見下ろしながらすごせる位置で、時間をゆっくりと使うことを覚えた場所でもあります。

大好きな景色をわりとぼ~っとしながらすごすという、中学生にはまだまだ難しい技術を身に着ける修練が出来ました。
昼寝とか昼間に眠くなるようなことが全くなかったので、ウトウトすることやボケ~っとすることなどなかなかありませんでした。
今でもそういうところがありますが、昔からせっかちだったので、のんびりすごすのが下手だったのですね。
そういう気質にとっては、この当時ドトールで身に着けたことはかなり革新的な出来事だったのです。

それ以降、各所で入り浸ったカフェやバー、レストランなどでは、のんびり過ごせないとダメシステムが発動されました。
そうなのです、いわゆる「ながっちり」な人間へと変化していったのでした。

話はそれましたが、一杯の珈琲と共にじっくりと時間と向き合ってすごす、少し大人な世界を発見したのです。
アメリカンは大きめのカップ、ブレンドはレギュラーサイズのカップ、そしてエスプレッソの小さなカップ。
マシンで珈琲を落とすのも珍しかったですし、1杯づつその場で素早く淹れてくれるのも初体験だったのです。
昭和50年代ですからね。昔話ですよ。
大型のエスプレッソのマシンはイタリアから輸入しないと買えない貴重な機械だった時代のお話です。

その3年くらい後ですが、中華街の入り口にあるケーキの販売とイートインできるカフェがあり数か月だけバイトをしたのですが、そのお店はリニューアルと同時にイタリアからエスプレッソマシンを輸入してアレンジ珈琲をいち早く提供しておりました。
カフェラテ、カフェモカ、カプチーノ、キャラメルマキアートなど。
更にその10年後にスタバが日本に進出してくるまで、アレンジ珈琲に市民権はなかったようなものでした。
そう思うと、そのカフェは時代の先を行っていたんだと思います。

形は変わり時代も変わった訳ですが、今もドトールとケーキのカフェも健在です。
馬車道のドトールは旧店舗の時以来、行くことがなくなってしまいました。
でも、あの当時の馬車道の景色はくっきりと覚えておりますし、沢山の思い出を重ねた場所として記憶しています。

もちろん今でも馬車道に行きますし、大好きな場所であります。
センチメンタルな気持ちにもなりますが、ノスタルジックな街の景色は変わらずにそこにあります。

お散歩や観光を推奨できない時期でありますが、少し落ち着いたら訪ねてみてください。
馬車道は観光するほどのスポットはありませんが、すぐそばにみなとみらいもありますのでついでの折にでもぜひ。

それではそんな雰囲気にぴったりの1曲をお届けします。
アルバム「BLUE JADE」より。
エディ藩で『雨の馬車道』。

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