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【連載】大石孝次の「音楽な日常」第113回

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珈琲をめぐる物語2

初めて喫茶店に通うようになったのは、高2の時にバイトしていた時によく行ったお店です。

バイトにエネルギーを注ぎ込むようになって、はっきりと大きなお小遣いが使えるようになった頃。
地元の百貨店のテナントショップで販売のバイトをしていました。
これがどうやら適性があったようで、わりとすぐにその適性を認めてもらい、レギュラースタッフとしてポジションを確立しておりました。

バイト中に休憩の時間があると、店のスタッフさんに混ざって、建物の裏手にあるビルの1階にあった喫茶店によく行きました。
馬車道にあるドトールの初期からある店には行っていましたが、いわゆる町場の喫茶店には出入りしておりませんでした。

そのお店はお洒落な雰囲気の気持ちの良い居心地でした。
それほど大きな店ではありませんが、入り口を入ると大きな楕円形のテーブルがあります。
それと小さなボックス席が3つ。
道路側は全面ガラス張り。店の色調はテーブルや椅子が籐製で深いワイン色。
落ち着いた空間には静かな音楽が流れています。

アイスコーヒーやティーを注文すると、楕円卵の上をスライスしたような形状のグラスで提供されます。
当然フラフラとするのですが、ちゃんとバランスされていますのでひっくり返るようなことはありません。
グラスの中はたっぷりのクラッシュアイスで冷やされた飲み物が入っています。
ちょっとした贅沢な気分になります。少しのセンスの良さが、居心地につながる訳ですね。

マガジンラックに備え付けられた雑誌もファッション誌が中心。マンガ雑誌などはありません。
このころよく読んでいたのがananとnon-no。たまにOLIVEは買っていました。
女性ファッション誌を読む生活はこの後しばらくの間続きます。
バイト先では接客(主に女性で年齢層は高めの方が中心)でしたので、流行やトレンドはマストで知っておくよう勉強しました。
そんなついで的なオプションもあって、ananの最新刊が入る金曜日や、2週に一度のnon-no最新号などを女子たちと競って休憩時間に取り合っていました。
喫茶店の空間を満喫し、30分の休憩で心身ともに楽しむすべを身に着けていきました。

バイトは店舗での販売だったのでずっと立ち続け。
慣れないうちは足が疲れましたが、慣れればそれが当たり前になってきます。
さらに若さを買われて倉庫の整理や重い荷物の運搬などの担当に。
月に一度、百貨店の店頭で行われるワゴンセールがあるのですが、それの切り込み隊長みたいな事もやらされておりました。

これがはっきり言って肉体労働の塊みたいなイベントで、前日の準備から1週間の販売、そして片付けまでがワンセット。
通常の仕事にプラスさせられる業務なのですが、その分『残業』という稼ぎがプラスできるオプションがあるのです。
定時以外に残って行う業務でバイト代を稼げるので、泣きながら頑張っておりました(笑)

ワゴンセールの準備の前は、休憩時間にお腹を作っておかないと体力が持ちません。
なのでその時だけ残業前の休憩時間に喫茶店でナポリタンを追加して食べておりました。
その喫茶店はケーキが数種類とフードはピラフとナポリタンのみメニューに入っておりました。
純粋で余計な要素を一切はぶいた純正のナポリタンでした。

フードメニューが多い店ではないため、ボリュームもわりと遠慮がち。値段も安くはありません。
少年がお腹を満たすにはいささか少な目なのです。
ほかでラーメンでも食べたほうが満腹感は満たせるのですが、時間と空間と空腹を満たすため、月に一度だけナポリタンを注文していました。
この後の労働に対して気持ち的にも支えになる、ささやかに贅沢な儀式的おやつタイムなのです。

この喫茶店はキーコーヒーの豆を使用していました。
この頃から珈琲の味に関していろいろと思うようになり始めます。
しばらくした後に出会うことになり、実は自宅で飲んでいる珈琲の豆もこのメーカーだったのが『キャラバンコーヒー』。
このキャラバンコーヒー、やけに地元感が強いと思えば、横浜馬車道に1928年創業という老舗なのでした。
デパートなどのテナントで生豆を販売しているショップが沢山ありました。
それは気づかないうちに馴染んでいても当然。
ず~っとこの味で育っていたのかと、後になってから納得いたしました。
っと、そのお話はまた改めていたしましょう。

この当時発売され大ヒットとなったこの曲をお届けします。
名盤アルバム「Synchronicity」より。
The Policeで「King of Pain」。

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