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【連載】大石孝次の「音楽な日常」第151回

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アイデンティティについて

アイデンティティという言葉を最初に聞いたのは、十代の終わりだったでしょうか。
会社の研修で新しくやってきた「なんとかかぶれ」みたいで、自分は鳴り物入りの社員のつもりのすかした男が口走っておりました。
何だかカッコつけで上からモノを言いたくて仕方がないタイプの人で、研修の先生より更に上からかましていました。

彼曰く「自分のアイデンティティが問題なんだ」と。
今にして思うと自分のアイデンティティってなんなんだ?
その当時はなんとなくそうかそうかと話を聞いていましたが、今にして思うとこいつ何言ってんだって感じです。

彼は「個性」などと解釈して言っていたんだろうと思います。
覚えたばかりというか誰から聞いたんだかしらないけれど、言いたかっただけなんだろうなぁ。
話を聞いていてもどうにも繋がりの悪いちぐはぐな会話にしかなってなかった印象でした。
会話の中には現在注視されている「同一性」と言う意味のワードが出てくる事はありませんでした。

昨今は時代の変化に合わせてそのワードを使う頻度が増えてきました。
個性と同一性とでは一致しにくいものですが、同じ土俵にその言葉が並ぶ時代がやってきました。
個性が画一化してきた昨今に同一性まで持たせてしまうと、全て同一化していくと言うことにもなりかねません。

個性的と言われた時代を振り返ってみると、オリジナルと言われるモノ達が浮かびます。
オリジナルの模倣から流行はスタートするのです。
最初の最初は常に異端扱いから始まるのですが、そこに更なる新しさや斬新さが加わって個性へと進化を果たします。
ジーンズなどはその最たるもので、作業衣として生を受けてから時の経過とともに変化し新たな価値観へと進化をとげます。
産業や道徳、価値観、そして世相、文化は時代の波と共に変化を遂げます。
単なる時間の経過では割り切れない、真新しいモノが数多く誕生し、目まぐるしく変化していきます。

高度成長期に産湯を浸かった者としては、進化の過程を見続けている証言者になったような心境になります。
それほど現在は、その当時から進化を果たした世の中になっております。
むかし夢見た未来が少しづつ現実になっております。
今もまだ過程であると思いますが、テクノロジーは進歩し続けていくでしょう。
ですが、人間自体がそれほど進化していけるとは思えません。

脳の大半は休眠状態であると言われます。
昔、ナイトヘッドというドラマがありましたね。
それは使う必要性がないから沈黙しているのではないのかと思えます。
無理に動かす必要はないのです。
所詮は破壊や戦争を繰り返している訳で、それが今持っている限界なのでしょう。

その先の未来は新たな時代の担い手にパスすることになるのでしょうか。
なにも別にAIに判断を任せる必要などないと思います。
そんなものに頼るようになったら、本当に人間はいつか支配されてしまうかもしれません。

偏った考え方が発信され支持されるような時代になってきました。
国会にですら、そんな事が起こるようになっております。
選択する人間の思考が墓石や化石からフニャフニャ思考へ変化している時代。
未来へ期待が出来るのかどうかも些か不安です。
人間が入らない世界へ疑問を持たずに進んでいく世代に漠然と不安を感じます。
信頼や信用も新しいフェーズに移ったという事なのでしょうか。

話を戻します。時代に沿って変化していくものに対し、どう対応していくか考える仕事をしています。
古参が集まるとしょっちゅう新しいものに対して、どうしたのこうしたのと話が始まります。
何も気にせずに呑気な老後を過ごしたいと願っていましたが、どうやらそんなことも出来そうにありません。
相も変わらず不安を抱えたまま歳を取っていくしかないのでしょうか。
明るい未来が待っている気もせず、霞がかったまま時は流れていくのでしょうか。

漠然とした不安だけが影を落としているような、そんな気持ちだけがしてしまうこの頃です。
なんとも出口のない内容になってしまいました。
いかん。
そんな気分を吹き飛ばしたいですが、どうも年明けから明るい話題がありません。
音楽業界では不変の才能が奪われてしまっています。

せめて音楽だけは気持ちを明るくしてほしいです。
一抹の切なさばかりが降り積もります。

そんな時には脳が休まるようなヒーリング効果のあるサウンドを心が欲します。

昔からいつも気持ちを切り替えたいときに聞きたくなるのがこのサウンドです。

山下達郎で「MUSIC BOOK」。

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