ライカの話(2)
みなさんこんにちは。
イメージングディレクター/フォトグラファーの芳田賢明(よしだ たかあき)です。
ラジオのレギュラー番組だと思っていろいろ書いてみる、連載「memorygram」第3回です。
2015年2月。
フォトグラファー活動を休止してレタッチャーとしての活動に専念していた時期。
「仕事としての撮影をしないのなら、もうカメラは趣味的なものだけでいいんじゃないか」と思うようになっていた頃。
手持ちの機材を全て手放して、一つだけ趣味的なカメラを持つなら…ということで、イメージしていたのがライカでした。
なんか、商業系の写真を自ら撮ることがもうないなら、一眼レフも手放してライカみたいなカメラだけ持っておけばいいんじゃないかって気がしてる。
— Takaaki Yoshida (@takaakiyoshida) February 3, 2015
ちょうどその頃、ライカユーザーの知人による「手持ちのM9をMモノクロームに買い換えようと思ってるのだけど、M9興味ある人いる?」という趣旨の呼びかけを目にしました。
カメラ店から中古で買うよりも安心できる、でも軽々買える額でもない、という葛藤があったのですが、「ともかく一度試用させてもらおう」と思い、知人に打診。
今でも忘れない、写真機材の展示会である「CP+」でお会いして、お借りしました。
あああああああああ pic.twitter.com/mJpvYyafj3
— Takaaki Yoshida (@takaakiyoshida) February 15, 2015
まずはCP+の会場であるパシフィコ横浜周辺からスナップ。
撮ろうとしてシャッターを切っている写真ではないけれど、記念すべきファーストショット。
1時間ほど撮影する間に、心から使いやすさを実感し、すっかり身体と一体に。
確かに速写性すごいわ。ライカは身体と一体になるっていう表現がよくわかった。
— Takaaki Yoshida (@takaakiyoshida) February 15, 2015
なんでこんな使いやすいんだww
— Takaaki Yoshida (@takaakiyoshida) February 15, 2015
それまで一眼レフやミラーレスでスナップをしてきて、ずっと引っかかっていたのが「シャッターが切れてほしいときに切れてくれない」こと。
そして「カメラと身体がダイレクトにつながっていない感じ」「いったん何かを中継してカメラを操作しているような感じ」をずっと持っていました。
それが、ライカM9には一切なかったのです。
撮りたい瞬間にシャッターが切れてくれる素晴らしさやばい
— Takaaki Yoshida (@takaakiyoshida) February 15, 2015
デジタルカメラなのに全てが機械的に直結してる感じがするのがすごくいい。電子的な都合を気にしてあげなくていいことのストレスのなさ。
— Takaaki Yoshida (@takaakiyoshida) February 15, 2015
東横線で移動して、私のお決まりのコースである渋谷〜表参道でスナップ。
スナップでは「結局一枚もいいの撮れなかったな」となる日もあったのに、この日は次々に手応えのあるショットが得られる。
「ライカを使うと必ず毎回、撮影中に確実な手応えがある」というのは初めての撮影から感じていたのです。
撮影の調子良すぎてワロス
— Takaaki Yoshida (@takaakiyoshida) February 15, 2015
その手応えはどこから来るのか、考えることがあるのですが、その理由の一つとして思うこと。
今この瞬間にこの構図だっていうタイミングを逃さずに済むのが何よりの良さだし、他のカメラだったら「これは間に合わないな」と諦める状況でもシャッターが切れるから、どんどん攻めていけて良い。
— Takaaki Yoshida (@takaakiyoshida) February 15, 2015
どんな状況であろうが、シャッターボタンを押せばとにかく撮影してくれるということ。
当たり前のようですが、意外と一眼レフやミラーレスではなかなかそうもいかない。
オートのカメラは基本的に「オートフォーカスが合っていないとシャッターを切らない」。
そして身体もそれに合わせてしまって、露出やフォーカスが間に合わなそうならそもそもシャッターを切ろうとしない自分がいるのです。
でもライカは、全てを自分でコントロールする。
それに慣れてくると、露出やピントを制御する自分と、シャッターを切る自分がそれぞれ別に存在するようになるのです。
「ピントが合ったら撮れる」という順次処理ではなく、「ピントはピント、シャッターはシャッター」という並列処理。
シャッターを切る自分は、ピントの合焦状況に関係なく、切るべきときに切るのです。
露出やピントも大切だけど、撮るべき瞬間にシャッターを切らなければそもそも画が得られないのだから、「シャッターボタンを押せばとにかく撮影してくれる」ことが、確実に使いやすさの一つになっています。
【プロフィール】
芳田 賢明(よしだ たかあき)
イメージングディレクター/フォトグラファー。
「クオリティの高い撮影・RAW現像で、良い写真を楽につくる」をテーマに写真制作ディレクションを行っている。撮影ではポートレートや舞台裏のオフショット撮影を得意とする。
Webサイト…https://atmai.net/
Instagram…https://www.instagram.com/takaaki_yoshida_/
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