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【連載】大石孝次の「音楽な日常」第16回

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最近では出張以外に、中・長距離の移動をすることがほとんどなくなっております。
旅行らしい旅行にも行く事がありません。
その代わり、遊びではないですが海外に仕事で出かけたりすることがあったりします。

そんな最近ですが、久しぶりに電車に数時間揺られて移動する機会がありました。
勿論、これも仕事絡みなのでありますが、現地までの数時間を一人電車に揺られての移動となりました。
東海道線を西に向けて進んでいきます。
見慣れた光景であるのですが、ゆっくり景色を楽しみながら時間をまったり感じて進みます。

藤沢を過ぎたあたりで、ふと、頭に大好きな曲が浮かびました。
このエリアを通るには絶対外せない曲です。
荒井由実の「天気雨」です。
この曲のヒロインは、曲を作ったユーミン自身がモデルであるかのような設定で、相模線に乗って茅ヶ崎まで来る女の子。
茅ヶ崎のGODDESというサーフショップにいるはずの彼に会いに行くストーリー。
何気なくさりげない小さなお話しなのですが、主人公の気持ちの機微が場面や情景、空気感を感じながら想像できるのです。

自分より少し年上の世代の人たちの青春ストーリーですが、少年時代に憧れた正に湘南エリアの寓話なのです。
不器用なのかぶっきらぼうなのか、ちょっと彼女に冷たくする彼。
自分の世界に彼女がさりげに入ってくることが、恥ずかしいような嬉しいような、ちょっぴり嫌だったり照れくさかったり。
つい不器用な表現になる年頃の彼の気持ちと、ベタベタするわけじゃなくちょっとそばに居たい彼女の気持ち。
そんな青春像が短いワードと曲の中に見事に表現されています。
今とは時間と空間の在り方が明らかに違う40年前の青春像なのです。

その頃の光景を憶えていて、またそこが時間経過していく様をみてきた訳です。
天気雨の彼女の気持ちは今でも変わらないものだと思います。
彼の気持ちの在り方も今でも変わるものではありません。

サーフボードの修理でGODDESに行った彼。
彼に言わずに相模線に乗って彼に会いに行く彼女。
彼女を誘わずにGODDES行った彼には二つ気持ちがあると思われます。
・一人で行きたかった
・彼女を誘わない方が良いと思った
それぞれの気持ちには様々な理由があると思います。

自分が思うイメージとしては…
仲間内が集まる場所に行って自分的な時間を過ごしたい。
きっと無駄話をワイワイだらだらするだろうと思うから、彼女がいてもつまらないだろうし、こちらも気になるし周りも気にして話をしにくくなるだろうから。
一方、彼女は…
自分が茅ヶ崎に行くことが迷惑になると感じでいるけれど、やはり彼に会いたい我がままを通したい。
もしGODDESに着いて彼がそれを嫌がったとしても、私が勝手をしたのだから気にしないでクールでいてほしい。
たとえ行ったときに彼が帰った後だったとしてもかまわない。

携帯もメールもない時代です。
今は何でも直ぐに結論付けてしまいがちな時代です。
不便を知らない若い人たちには想像も出来ないかもしれない、そんな世界があった訳です。
携帯を持たずに一日過ごすとかしてみたことがないでしょうけれど、やってみると良いかもしれませんね。
人とコミュニケーションを保つ意味や、普段ないような感情の在り方を感じられ、いつもと違う時間を過ごせること間違いなしです。
人に対してイメージしたり、考えたり、たくさん思ったり…
もっと相手のことを考えることで必要以上に想像を働かせる訳ですね。
だから嬉しいはずなのに、会えた時に必要以上に不器用になったりしてしまうのです。
本当はもっとこうしたかった、素直になれたらよかった、などと繰り返し繰り返し思う訳です。

ぜひこの機会に、相模線に乗って茅ヶ崎まで散歩に行ってみて下さい。
いまのGODDESは昔のそれとは大分違いますが、天気雨を聞いて尋ねる人は少なくなったと思います。

携帯も持たずに女の子が一人、ふと行ったとすると天気雨の彼女の追体験が出来るかもしれませんよ。
但し、茅ヶ崎駅も綺麗になった今は、サザンオールスターズ色が圧倒的に強くなってますが(笑)

それではまた次回お会いしましょう。

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