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【連載】大石孝次の「音楽な日常」第158回

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「悲しみは突然やってくる」

最近起きた出来事の中で、一番生活に密着しながら大きな影響を受けた事があります。

今の住まいに引っ越して5年を過ぎたのですが、その生活の中で大きな支えになっていたお店があります。
いわゆるご近所のスーパーであります。

ずーっと昔から使い慣れていたチェーンスーパーが近所にありました。
使い慣れた、見慣れた商品が陳列されている安心感に出会えた喜びを、引っ越して来た時に改めて感じました。
スーパーマーケットは生活の軸になる訳です。

いつも使っているので普段はそんな風に思ったことはなかったのですが、重要な生活のファクターとなっているのです。
自分のライフスタイルに密着している訳で、その商品たちが自分の血となり肉となる素材たちが並んでいます。
そう思うと、ここ5年の自分を形成する中で、相当な割合を依存してまいりました。

そんな大切なスーパーマーケットが突如閉店する事になったのです。
閉店1か月前に張り出された告知文を見た時、ガーンと大きな音が頭の中にこだましました。
正直、このような体験をしたことがなく、正直うろたえました。

店内に入って買い物をする訳ですが、心ここにあらずでなんだか分からない焦燥と戸惑いと悲しみが一度にやってきました。
その日の買い物は焦燥感からなのか、いらないものをたくさん買ってしまいました。
悲しみの中ですが多少の冷静さを取り戻しつつ自宅に戻り、袋から買ったものを取り出すと予想外のアイテム購入をしており驚愕。
しみじみとそのスーパーの存在の大きさに気付かされました。

その後もそのお店に通っていたのですが、行くたびに変化が起きておりました。
まずは花屋さんがなくなりました。
小さな植木鉢や切り花までお店の周りにたくさん並んでいて、そこを通るたびにホッとしたり安心したり気持ちが明るくなるお店でした。
季節の移り変わりを一番最初に教えてもらえたお店でした。

店内に入ると棚が間引きされたり、商品が徐々に減っていきました。
野菜や生鮮は大きく変わらなかったのですが、棚置きしてあった商品が日を追うごとに減っていく様はなんとも胸が苦しくなります。
知らない間にあった安心感と安定感が失われていく気がしました。

長いスパンで繋がっていたラックが半分のところで外されて新しい通路が出来、翌週には更に通路が増えたりしました。
雑貨コーナーは早い段階で買いたいものがすべて撤収されてしまいました。
スーパーがスーパーと名乗る所以である、多様な商品を一度に購入できる利便性、これがなくなりつつあります。
他に買いに行かなければならなくなるのです。
もちろん全てが揃っていた訳ではありませんが、日用品に関してはそれなりにありましたので。
些細な事が傷ついた心にはヒリヒリとした痛みとして感じられました。

閉店の前日。この日がそのお店に行ける最後の日となりました。
お店に到着し、店のロゴ看板をバックに自撮りをしました、が上手に撮れませんでした。
最後のお買い物は必要最小限の物でした。

5年半というなんとも微妙な年月かもしれませんが、確実に人生と生活を支えてもらいました。
今になっても感謝しかありませんし、近隣のみなさんに与えたダメージを解消できたのだろうか気になります。
40年以上営業されていたそうなので、まったくもって地元愛の化身だったと思います。
閉店を知った日、何度もお見かけしたレジのお姉さんに「無くなっちゃうんですね」と声をかけると、
「そうなんですよ~、寂しいですね」と言っていました。
みなさんから同じく声をかけて貰ってるんですとも仰っていました。

コロナ禍や販売業界の業態変化、物流の24年問題に円安。
様々な要因があったのでしょう。会社は何らかの理由でクローズを選んだわけです。
地域活性やコミュニティに根差した店舗展開を試みた時代がありました。
今は高効率化や無駄を排除しSDGsなどに配慮するなど、新しいテーマ性を持つようになりました。

昔ながらのスーパーは確かに減ってきております。
引っ越す前にあった地元のスーパーがなくなった話を最近聞きました。
袋も有料になりました。
先日、駅に向かって歩いていると、向かい側から玉ねぎを下げて歩いてくる主婦がいました。
それだけを買いに行った帰りのようでした。
その姿を見た時に、スーパーや八百屋さんなどの使命を感じる事が出来ました。
必要な時に必要なものを。これに勝る理由は存在しません。

身近に在って便利に依存していた存在がなくなってしまう悲劇に翻弄された1ヶ月間でした。
好きだったお店がなくなってしまうことは過去にも多々ありました。多い方だと思います。
駅前のスーパーやデパートがなくなってしまいうこともありましたが、代替のお店があったりします。
今回はお店のブランド性を含め、近さや品揃え、価格や使いやすさなど、なじみの深いお店だけにダメージが大きかったのです。

今は違うお店に行くようになりましたが、やはりどこか馴染み切れずなにか納得できないものと闘っております。精神的に。
どうでもいいよと思われてしまえばそれまでですが、やはり一抹の寂しさがまだぬぐい切れておりません。
早く立ち上がって(立ち上がってますけど)新たな気持ちで日々のお買い物が楽しめる日が来ることをお願っております(買ってますけど)。

それでは最後にこの曲でお別れしたします。
ドン・セベスキーのアレンジとして最高傑作アルバム「ROAD SONG」の中から
ウェス・モンゴメリーの演奏で「yesterday」。

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