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【連載】大石孝次の「音楽な日常」第51回

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今回お話しする内容は、まさに人が一生のうちに何度体験できるか分からない、それはそれは夢のようなお話です。
その気になって頑張れば、もちろん体験することはできるのですが、その気になって挑戦するにしてもなかなかに準備や用意、そして運までも必要なことなのです。
そんな出来事を体験したお話をさせてもらおうと思います。

それは夏の前くらいのある日に、突如として転がり込んでまいりました。
「9月○日〜○日の期間に、あなたは旅に出る事が出来ますか?」この1本の電話から事は始まります。
もちろんこの電話が掛かってくる前にも色々あったのですが、まあ、そこは割愛させていただきます。
「その日程でしたら大丈夫です」「では、旅に出ていただきます」
そんな風に突如として自分が旅行者リストの一員として登録されたのでありました。
その旅には連れを1名立てることが出来ましたので、昔からの旅仲間であり飲み仲間である先輩が同行することになりました。

出発当日、東京駅の新幹線の中で待ち合わせをして、一路京都まで参りました。
その日は京都で1日過ごし(ここにも色々ありましたが割愛)、翌朝、颯爽と(?)スーツスタイルでホテルのロビーで先輩と待ち合わせて京都駅に移動します。

京都駅に直結の高級ホテル、グランヴィアのロビーへと向かいました。
なぜなら、そこが旅の出発点になる場所だからです。
グランヴィアの入口には、自分たち旅行者を出迎えるクルーが待機しておりました。

クルーに案内されてホテル上部フロアーにある、旅の専用のラウンジへと向かいました。
そこはこの旅に出る人達専用にしつらえられた高級感漂う内装の優雅なスペースで、VIP対応のスタッフとサービスが待っておりました。
ウエルカムドリンクに最上級の玉露のファーストフラッシュでお出迎え。これがまた最高の香りでした。
朝の時間帯ですがアルコールメニューを含めたドリンクメニューが揃っております。お好きなものをお好みで。

旅に参加する面々が徐々にその部屋に集まってきます。
全員揃ったところで旅の案内をツアーの主宰が行いました。
見回すと旅の参加者は紳士淑女。ドレスコードがあるのでみなさん落ち着いた装いです。
一通りの説明を聞いた後、私たちは順番に旅の出発点へご案内いただくのですが、否応なしに緊張感が増していきます。
ぶっちゃけ、まだ何が起きるのか全然理解していない私たち。

ホテルのフロアーを奥に進んでいくと、一般には使用されていない秘密のエレベーターで1階まで降ります。
エレベーターのドアが開くと、そこに広がった景色は…『JR京都駅 0番ホーム』でした。

おぉ! まさにVIPや貴重品などと同じような扱いで京都駅の0番ホームに、改札を通過しないで降り立ったのです。
凄えな! おい!…なんだか不思議な気持ちで一杯ですね。

ホームにはまだ列車は来てありませんでしたが、自分たちには意味が分からない歓迎ムード一杯に写真を撮ってもらったり、ワイワイしながらキョロキョロしながらワクワクしていたのです。
ホームの前方に案内してもらうと、これから到着する列車を参加者一同で迎えることとなるのです。

すると、遠くからゆっくりとゆっくりと目の前まで登場してきたのが…

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なんと!『TWILIGHT EXPRESS 瑞風』なのでした。
緑色のボディーは朝の強い日差しに輝いております。
1号車の先頭は独特のディティールで、そこに立って景色を楽しめるデッキになっております。

荘厳であり厳格である重厚さ…なんてぇこった…
この素晴らしき、世界で1編成しかない豪華寝台特急で2泊3日の旅に出かけるのです! やったぜ!

今回の旅のお仲間は総勢30名。30名しかお客様のいない超贅沢な旅に参加させていただく事になっちゃったのです。
これは人生の中でも相当な出来事ですよ。
だって、切符を取ろうにも抽選倍率はとてつもなく高く、旅の費用も…ねぇ、相当なものですから。
そんなこの旅に、なんと! ご招待いただいちゃった訳なのですよ。まじ卍です。

列車に乗り込む際にクルーから部屋の重厚な鍵を渡されます。
おぉ、どっしりとした風格のある鍵、そしてキーホルダー。
この鍵がまさに旅の扉を開く鍵なのでありますね。う〜む実感。
我々の部屋は902号室でした。

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そして列車に乗り込みます。
噂やテレビなどである程度の知識は仕入れておりましたが、実際にこの車両に乗ってみると、なんともその隅々まで行き届いたギミックと完成された空間性に驚きと感嘆。
列車というある意味閉ざされた空間の中にある美意識は、素晴らしく完成されたものでありました。

さあ、いよいよ旅は始まるのです〜!

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