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【連載】大石孝次の「音楽な日常」第25回

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『好きな映画と青春の香』

前回の続きの映画のお話です。
ライ・クーダーがサントラを手掛けた作品はいくつかありますが、劇中の挿入歌やタイトル曲なども珠玉作なのが…「ストリート・オブ・ファイヤー」です。

映画の冒頭のダイアン・レインが演じるエレン・エイムが登場して歌いだす「Nowhere Fast」は、まさに作品の扉を叩く衝撃のライブシーンです。
監督のウォルター・ヒルの作品に共通する匂いやシチュエーション、音楽性など、男臭さいっぱいストリート感に心を鷲掴みされました。

同監督の「ウォリアーズ」という作品を観た少年時代、アメリカの負や影の部分、ストリートに潜む危険一杯の未知なる世界にドキドキハラハラしました。
あの危険な世界にいつしか憧れを抱き、ストリートの光と影に憧憬を抱いた若者は数知れないと思います。

「ウォリアーズ」で描かれていたものは『チーム』という小さな組織。
そして数多く存在するチーム同士の抗争が展開されていきます。
それに対して「ストリート・オブ・ファイヤー」で描かれるのは、主人公と周りに居合わせた最小人数のチームと、隣街を牛耳っている巨悪の組織との対立構図。

ヒーローはあくまで孤独で無口な男。
所謂ヒーロー像とは少し違う、どこか社会に背を向けた雰囲気がカッコいいクールガイ、マイケル・パレ演じるトム・コーディー。
そして敵対するグループ「ボンバーズ」のボスであるレイヴェンを演じるのが、狂気な雰囲気がはまっているウィリアム・デフォー。
魚屋の胴付長靴みたいな恰好で歩く姿もさまになっております。

舞台となる街は暗く雨が降り高架の上には電車が走るワーキング・クラスのダウンタウン。
ある種、心の情景として象徴的な場所がこのような夜のストリートであり、ウォルター・ヒル作品の強いモチーフになっています。

作品の冒頭に「あるひあるところで」的なテロップが入り、あくまで現実にありそうでそうではない寓話であること知らせます。
これが作品に素早く没頭できるおまじない効果を発揮しております。あくまで大人のおとぎ話なのだと。

そのほかにも見どころ満載なのです。
ダイナー、バー、オープンカー、タフなバイク、薄暗い電車、裏仕事で銃器を販売する修理工場、要塞のような敵のアジト、などなど。
物語を盛り上げる舞台装置も完璧です。

孤独なヒーローとスーパーヒロインの隠された恋、アクション満載の救出劇や敵との一対一の対決など、欲しかったヒーロー像がそこにあります。
完璧じゃないからカッコいい、強いだけ無口になる、そして負けない。最高です。

そしてサウンド・トラック。
ヒロイン、エレン・エイムの楽曲にR&Bのナンバー、そして全編を流れるライ・クーダーのギター。
はまっているようないないような、それでいてなくてはならない、そんな存在感のあるライ・クーダーの曲で構成されています。

ウォルター・ヒル作品では「ロングライダーズ」も、ライ・クーダ—がサウンド・トラックを担当しております。
このメイン・テーマ曲がまた泣かせるんですよ。

映画と音楽は切っても切れないものですが、作品が発表された当時、監督と歌手が仲違いをしてサウンド・トラックに収録されない悲劇がありました。
コッポラ監督の「アウトサイダー」です。
スティービー・ワンダーが歌う「ステイ・ゴールド」
映画が公開されてもこの曲がレコード化されなかったのです。理由は監督との意見の相違だったそうで。
映画では黄金色の時間、青春期、夕暮れ時の空、心の残る場面、そんな事柄を『ゴールド』という言葉で象徴的に使用しています。
原作からテーマ付されており「ステイ・ゴールド」の歌詞も作品に沿った内容となっております。
「ステイ・ゴールド」という言葉も、主人公たちのチームのメンバーの「ジョニー」が、ポニーボーイに託す重要な言葉なのです。
このように重要な曲が映画以外では聴くことが出来なかったのは悲劇でした。
それから10年以上の時が流れた後に、ようやく音源化されCDに収められました。
映画の公開当時はまだCDはなかった時代ですので、時の流れを感じることとなりました。

そんな感じで、自薦映画ベスト10には「ストリート・オブ・ファイヤー」「ウォリアーズ」「アウトサイダー」は間違いなくランクインします。
他にも素敵な作品はいっぱいありますが、これはまた改めてご紹介出来ればと思います。

それでは今回は「ストリート・オブ・ファイヤー」よりエレン・エイムが作品の最後に歌う「Tonight Is What It Means to Be Young」を聴きながらお別れです。

それではまた次回、お会いしましょう♪

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