四条川端夕暮れ水炊き夏床純情編
梅雨の合間の快晴の日。
1年ぶりに京都に行きました。
日中は空はピーカン。気温は30度を超え。
真夏を思わせるような暑さの中、市内を歩いて移動し用事をこなしていきました。
直射日光は肌に刺し紫外線も強く、汗はダラダラと流れてきます。
日中の予定を素早く終わらせ、夕方にあった予定は一部中止をして、その日の宿にチェックインしました。
ホテルに入りエアコンを効かせ、着ていた服を脱ぎ捨てて、すぐに熱々のシャワーを浴びました。
冷水より熱いシャワーの方がバスルームを出た時の爽快感が高いのですよね。
濡れた体を拭きながらエアコンを感じると生き返ったような気持ちです。
冷たい水を喉に流し込んでそのままベッドに横になり、窓から見える外の日差しを見ながら短い時間お昼寝をしました。
なんたる贅沢な時間。
夕方とはいえまだまだ外は昼間と同じ明るさ。
ゆったりと部屋で過ごして、6時30分を過ぎた頃、ホテルを出て四条川端方面へ。
昼間の暑さは姿を消し、気温は落ち着き風は爽やか。湿度が低くて何とも気分が良い。
ゆっくりと散歩しながら今夜の食事を予約したお店に歩きます。
古都の景観を楽しみながらの散歩は、プチトリップの贅沢な楽しみ方の一部です。
本日夕食を予約したのは以前からの一度は来たかったお店『鳥彌三』です。
四条川端にある超老舗の水炊きの専門店。
古くは、かの坂本龍馬も食べたというこの水炊きを食べる事が憧れです。
本日は一人旅ですが存分に楽しみたいと思います。
予約した時間より少し早くお店に到着すると、お店の外には大きな「床」という文字の板看板が出ています。
5月を過ぎると京都の鴨川沿いでは、納涼床という矢倉が川沿いに並びます。
川沿いに並ぶお店が外側に仮設の大きなテラスを立てるようなイメージですかね。
夕暮れの川風を感じながら食事を楽しむ風流な遊びで、京都の夏の風物詩です。
お店の暖簾をくぐると着物姿の女中さんが出迎えてくれました。
すぐにそのまま店の奥へ案内されます。
石畳のたたきは打ち水がしてありとても心地良いです。
奥につくとそこで靴を脱ぎ座敷を通って、川床に案内されました。
「床に案内してくれるのですか?」と訪ねると、
「床にお席をお作りしましたのでどうぞ」と。
これは嬉しい。
夕暮れにまだ早い空の下、床の川側のど真ん中に席が用意されていました。
マジすか。超贅沢なんですけど。
夏の床は気分は良いのですが、いかにせよ京都の夏は暑い。外ですからエアコンなどはありません。
それを思うと今日は完璧な気温と湿度と風。パーフェクト。
席はゆったり目の椅子にテーブル。
普段は座敷に座布団と座卓なのですが、昨今の問題で今年はディスタンスを考慮してのテーブルを設置したそうです。
これがまた良い感じにゆったりで、しかもスペースはゆとりあり、しかも一人。
さらにこの広い床スペースにお客さんは暫定一人!
やったぜ、貸し切り状態っ♪
鳥彌三の床に一人…感無量です。
若い女中さんにその喜びを伝えると、「ぜひともゆっくり楽しんで下さい」とナイスな回答!
次のお客様が登場するまで優勝を味わいます。
冷えたビールを飲みながら夕暮れがだんだんと進んでいく鴨川、茜色の空、風を感じます。
は〜、ここしばらくはやはり大変でした。少しだけ頑張ったご褒美を頂きました。
神様は見ててくれるんだなぁ、と思います。
付きだしは湯葉の山葵添え、ハモの骨せんべい、川エビの素揚げ、プチトマトのシロップ煮、そして鳥の肝煮。
さりげない京都の味がいいですね。これは間違いなく日本酒の出番ですね。
俳優の佐々木蔵之介さんのご実家は京都の造り酒屋。近年そちらのお酒も大人気です。
佐々木酒造の特別純米酒「西陣」を頂きます。
栓の部分に西陣織の布でカバーがされている可愛らしい造りです。
お酒は飲み口も軽快で料理に合いますね。
その横では女中さんが水炊きを作ってくれます。
タイミングで取り分けをしてくれるのはなんとも贅沢です。
水炊きは流石の美味しさで、スープの美味さと肉の塩梅が絶妙で、いくらでも食べ続けられそうな感じです。
ゆっくりお料理と杯を重ねていると、辺りはだんだんと夜になって参ります。
一時間ほど貸し切り状態の床で優勝気分を堪能いたしました。もう大満足です。
大人の時間になってくると、他のお客様がだんだん増えてきました。
人がいる状態もやはり良きものです。静かな賑わいとでも言いましょうか。
食事はクライマックス迎えます。
締めはトロットロに煮詰まった鳥のスープで作るおじやです。
スープにご飯を入れたら玉子を回しかけ、青ネギを添えて煮込んだら完成♪
全て作ってくれるので間違いなし。良き感じの煮え具合でよそって頂きました。
ずっとスープは火加減を調節しながらず〜っと煮込んでいたので、もうね、コラーゲンの池みたいになっているのね。
味はしみしみて旨味の塊。
口にスープが絡むと、なんていうか…糊状態なのね。
唇を閉じたら開かなくなってしまいそうな程なんですよ。
この体験はした事なかったなぁ。凄くビックリでした!
もう美味しすぎで最後の一粒まで残さず食べました。
いやはやお腹パンパン限界に挑戦したなぁ。
でも女中さんは「残さず食べて頂けるのが、料理人は一番嬉しいんですよ」なんて言ってくれました。
美味しい料理だけではなく、気持ちをうまくのせてくれました。
浮世離れしたような気持ちになれたのは、この上ない愉しさでした。
古都の空気と歴史のある料理と老舗の雰囲気、行き届いた気遣いに大満足です。
初体験でしたが最高の贅沢をさせて頂き、これで一年は闘っていけるエネルギーをチャージ出来ました。
再訪出来るように頑張ろうと思った、初夏の京都トリップの一幕でした。
さあ、こんな気分の良い時に聴きたい曲はなんだろうな。
先ほどの夕暮れの空を思い出して…
ボズ・スキャッグスで「Heart Of Mine」
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