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【連載】芳田賢明「memorygram」第59回

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展覧会をライブにする

みなさんこんにちは。
イメージングディレクター/フォトグラファーの芳田賢明(よしだ たかあき)です。
ラジオのレギュラー番組だと思っていろいろ書いてみる、連載「memorygram」第59回です。

9月末のゴールに向けてラストスパートになってきました。
しかし10月も残暑だそうで、わけがわかりませんね。

ここ数年のメインの仕事は展覧会のプロデュースになってきています。
直近のピーク時は4つの企画を同時に動かしていて、指で文章を打ちながら頭の中では別のことを考えているような、ちょっと今までにない勢いでタスクをこなしていた感じでした。
考えてみるとこれピアノに似ているなと。弾きながらも目は楽譜の先を見ている。長年ピアノをやってきたことがマルチタスクのスキルに繋がったのかもしれません笑。

次々に考えて仕込んで開幕の扉を開き、お客様の反応と賑わう会場を体感して、そして気づいたのが、展覧会というのは美術をライブにすることなんだなと。

もともと音楽をやっていて、写真を始めたきっかけが音楽だったので、何かにつけて写真を音楽になぞらえて考えることが多いのですが、「音楽には時間軸があるけれど、写真にはない」と思ってきました。
でもそれって違うのかも。
「写真には時間軸がない」と決めつけてしまうことで写真の可能性を狭めることになる。
本来存在しうる写真の時間軸をどう現出させるかが重要なのではないか。

時間軸について正確に言うと、音楽の時間軸は送り手と受け手で同期されていて、写真の時間軸は送り手と受け手で同期されない、というだけで、写真をみる人それぞれに時間軸は存在している。みる人に一定の時間軸を与えるものが良い作品なのかもしれません。
あるいは、写真でも送り手と受け手の時間軸を同期させることも可能なのかもしれません。もちろんそれは動画とは違う形で。

それと、作品のプレゼンテーションによって時間軸の同期が可能であるということ。
例えば、絵解きとか、紙芝居屋さんとか、あれは一種の芸術のプレゼンテーションであり、パフォーマンスであり、ライブなんですよね。

写真展に動画を設置すれば時間軸が生まれてライブになるとかそんな浅はかな話ではなく、もっと展覧会をライブにするにはどうしたらいいか。
静止している作品を額に入れて壁にかけるだけが展覧会ではない、もっと自由でいい。
同期非同期の時間軸をどう生み出すのか。
モノづくりやクリエイティブのライブ感、ライブの熱狂をどう生み出すのか。
そういう思考と試行の先に新しい表現が隠れているのだと思います。


【プロフィール】
芳田 賢明
(よしだ たかあき)
イメージングディレクター/フォトグラファー。
「クオリティの高い撮影・RAW現像で、良い写真を楽につくる」をテーマに写真制作ディレクションを行っている。撮影ではポートレートや舞台裏のオフショット撮影を得意とする。
Webサイト…https://atmai.net/
Instagram…https://www.instagram.com/takaaki_yoshida_/


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芳田賢明 著、プロカメラマンに向けた[仕事に即役立つ本]
「誰も教えてくれなかった デジタル時代の写真づくり」
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