玄関のドアを開けた瞬間の
冬の透き通ったにおい。
起きたての身体のスイッチを
押してくれるような温度。
やさしいひかり。通り過ぎる風。
ふわっと揺れるスカート。車の音。
ヒールのこつこつ。革靴のことんことん。
ブーツのぽくぽく。スニーカーのぺとぺと。
いろんな足音。
信号待ち。じりじりした赤から、
ほわっと青に変わった瞬間、
白の映える横断歩道を歩き出す人、
急いで走って行く人。
駅のホームのアナウンス。
電車の窓から流れていく景色。
スマホを見てる人、
イヤホンで音楽を聴いてる人、
本を読んでいる人、試験前の学生さん、
寝ていて、こくんこくんってなってる人。
そんな日常を見てると、
いろんな、人それぞれの日常があって
きっとまったくおんなじ日常なんて
ひとつもないわけで、
感じてることも、ものも、空気も温度も
何もかもが違うから、
そう思うと、狭いと思ってた東京の空も
なんだか広く見えた。
何ら変わりのない日常を
毎日毎日繰り返してると、
ちっちゃい箱にいつのまにか閉じ込められてた
みたいな感覚になるけど、
って思えるきっかけを
日常にたくさんプラスしていきたいな。
IDOL
【連載】米満梨湖「あしたのいろ、わたしのいろ。」第5回

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