Negative Lab Proがすごい
みなさんこんにちは。
イメージングディレクター/フォトグラファーの芳田賢明(よしだ たかあき)です。
ラジオのレギュラー番組だと思っていろいろ書いてみる、連載「memorygram」第41回です。
フィルムで作品を制作するにあたって、大きなポイントになるのがスキャン工程。
ポジならドラムスキャン、ネガなら紙焼きにしてドラムスキャン、というのが王道かつ至高だったわけですが、今やドラムスキャナは風前の灯。
ドラムの後はFlextightが高品質スキャンの代名詞になっていましたが、それも生産終了となって久しいですね。
フィルムが減ればスキャンの需要も減るということなのでしょう、今や高品質でフィルムスキャンをするのはなかなか難しくなっています。
フィルム原板からインクジェットプリントで写真展が行われることも増えましたが、スキャン品質の問題で残念なクオリティになっているものも多々見かけます。
デジタルカメラがこれだけ進化した現在、もはやスキャナではなくデジタルカメラで複写する方が良い結果を得られると思っています。
引伸機に付けるレンズでプリントの質が変わることを考えると、またその頃に戻ったような、不思議な感覚です。
デジタルカメラでフィルムをしっかり複写すれば、それなりに良い結果が得られるとしても、ネガフィルムの場合問題になるのが反転処理です。
フィルムの銘柄や処理状態によってもパラメータが変わってくるのでなかなか難しい。
ある意味、暗室でのプリントをスキャナでやるようなものなので、ドラムスキャンでも基本的には紙焼きを扱っていたわけです。
ネガ現像と同時にスキャンしてくれるところも多いですが、ベタ焼きの代わり程度に思っておいた方がよいと思います。
そんな中、いろいろ調べていて見つけた「Negative Lab Pro」というツール。
Lightroomのプラグインなのですが、デジタルカメラで撮影したネガのRAWデータを反転処理するものです。
海外の動画やサンプルを見ていると結構良さげ。少なくとも手動でPhotoshopで反転させるより良い結果になりそう。
というわけで、回数制限ありの体験版でテストしてみると、これがなかなか面白く、買って損はないだろうということで購入しました。
画像を認識して、最適に反転させるRGBカーブを生成して、チャンネルごとに反転させているのですが、うまくやるもんだなと。
RAW現像のカーブで反転させるというのもナイスな考え方で、ベースになっているプロファイルもよくできている感じです。
ダイナミックレンジやトーン、ノイズ処理の問題なども、デジタルカメラの撮影〜現像のプロセスを使えるわけで、そういう意味では最先端の技術で処理ができるわけです。
仕上がりはこんな感じ。
左がミニラボのスキャン結果、右がNegative Lab Proでの処理(Nikon D5でネガを複写)です。
質感、ディテール、立体感、全然違いますね。
狙った色調に、反転プロセス上で持っていけるというのがストレスがなくて良い。
そこから16bitの非圧縮画像を作成できることを考えれば、ミニラボと比較するのがそもそも間違っているのかもしれません。
今のところは過去のフィルムでテストしただけですが、先日撮ったフィルムを現像に出しているところなので、またやってみます。
実際の作品に取り入れることができるかどうか、探究は尽きません。
【プロフィール】
芳田 賢明(よしだ たかあき)
イメージングディレクター/フォトグラファー。
「クオリティの高い撮影・RAW現像で、良い写真を楽につくる」をテーマに写真制作ディレクションを行っている。撮影ではポートレートや舞台裏のオフショット撮影を得意とする。
Webサイト…https://atmai.net/
Instagram…https://www.instagram.com/takaaki_yoshida_/
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