予定調和の壊し方
みなさんこんにちは。
イメージングディレクター/フォトグラファーの芳田賢明(よしだ たかあき)です。
ラジオのレギュラー番組だと思っていろいろ書いてみる、連載「memorygram」第63回です。
年末、数年ぶりにハウススタジオで撮影しました。
普段は基本的にロケが多く、たまに白ホリの撮影があるくらいなので、ハウススタジオは新鮮です。
久々にハウススタジオで撮り始めてまず思ったのが、「どこかで見たような写真がどんどん撮れる!w」ということ。
よく言えば「っぽい」写真が撮れるのですが、悪く言えば「面白くない」写真です。
考えてみれば、ハウススタジオという場自体が「っぽく」作られているので、そこで普通に撮れば、既視感のある写真、紋切り型の写真になっていきます。
ここから逃げていかなきゃダメだ、ということで、いろいろと工夫して型を崩していくわけですが、そこでふと思ったのが、「予定調和をどう壊していくかというのが、その人の作風ということなのかもな」と。
写真の一般的な美しさというのはある程度パターンが決まっていて、そこは技術と練習でカバーできる部分が多いです。一般受けする写真は、そこが押さえられて突き詰められていれば、ある程度撮れます。
ですが、作家の独創性や作品の面白さ(興味深さ)といったことになると、その予定調和の美しさをどう壊すかということになっていきます。
撮る側からしたら、「この状況なら自然とこう撮るよね」からいかに逃れるかということ。
当然、壊しすぎたら理解してもらえなくなるし、美しくも感じにくくなります。必要な整い加減をキープしながら、絶妙に壊すことで新しい美学が生まれる。そんな、いわば「予定されていない調和」とでも言うようなものが、作風、作家性に繋がっているのではないかと思います。
まあこれは、撮り方に限った話ではなく、画づくりでも見せ方でも同じですね。
「型なしと型破りは違う」という話を思い出しました。
【プロフィール】
芳田 賢明(よしだ たかあき)
イメージングディレクター/フォトグラファー。
「クオリティの高い撮影・RAW現像で、良い写真を楽につくる」をテーマに写真制作ディレクションを行っている。撮影ではポートレートや舞台裏のオフショット撮影を得意とする。
Webサイト…https://atmai.net/
Instagram…https://www.instagram.com/takaaki_yoshida_/
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