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【連載】大石孝次の「音楽な日常」第157回

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『缶ビールにつまった夏』

1980年代は現在と40年の違いがある訳です。
そうか。
そう思えば違っていて当たり前。
ゆっくりと冷静にその当時を思い出せば、世の中が随分と変わったことに改めて気が付きます。

世の中の情報はテレビ、雑誌、ラジオ、新聞、映画、広告など、リアルに目に見えるものとリアルタイムに体験出来るものでした。
その当時は情報は足を使って実際に拾いに行かないと発見出来ないので、今と比べれば大変に思えるかもしれません。
でも、そうやって時間と手間とお金を使って仕入れていく訳なので、お気軽お手軽に仕入れる情報とは比較にならない熱量があるのです。
だからこそ仕入れた情報や経験は実体験としてインプットされ、確実に自分の血となり肉となる訳で、疑似体験などとは隔たるものなのです。

情報過多でググればなんでも知った気になれ、情報を選別する目も能力も培われず、あいまいな情報を偏った目線で見ることになります。
その反面として現在では好きなモノに対して溢れるばかりの情報があり、リアルに体験した時にはドップリとハマり込めるだけの懐もあるのです。

まだまだ情報の中心がテレビのCMで、トレンドは雑誌でしっかり確認する。80年代はそんな時代でした。
ハワイを舞台にした小説が好きで、その中に登場するのが「バドワイザー」の缶ビール。
いまではコンビニでも売っていますが、当時は完全なる輸入品でした。

バドワイザー、クアーズ、ミラー、ハイネケン、そしてコロナ。
お洒落な飲食店で飲めたのはこのラインナップが中心で、まだまだ輸入ビールの需要も輸入量も僅かな時期です。
ウイスキーだって洋酒という括りでスコッチもバーボンの種類も今とは比較にならない少ない種類と高価な値段でした。
シーバスリーガルとオールドパーが1本¥10,000。ジャックダニエルが¥7,800といった値段。
まだまだ輸入物(税金が高かった)は高級品という存在感でした。

当時流行っていたカフェバーでは輸入ビールが主流で、国産ビールとは違う味わいと軽い飲み口が人気でした。
缶のデザインやカラーリングもお洒落で、若者を中心に人気を得ておりました。
12オンス缶も今の形状とは違ってスリムなスタイル。薄めのアルミ缶で手にした雰囲気が違いました。
もちろん全て輸入物です。国内で販売する際はインポーターのシールが貼ってありました。

バドワイザーで特に感じたのは缶の匂いでした。
ビールも全て船便で数か月かけて届くモノで、貨物船も今ほど温度管理が徹底されていたとは思えません。
それが原因かは分かりませんが、当時のバドワイザーは酸味と缶独特の香りがありました。
でも、それが好きでバドワイザーにハマったのでありました。

クアーズも独特の香りがあって好きでした。口当たりも良くバドワイザーと双璧って感じでした。
横浜には輸入物産の専門店があったので、いろいろな種類のビールを買う事が出来ました。
レギュラーな種類の輸入ビールは横浜のバーには揃っておりました。
更にツボルグ、カールスバーグ、シュリッツ、オリンピア。
初めて日本に輸入されたばかりのオーストラリアのフォスターやビクトリアビターなどはいち早く飲んでみました。

その頃はサーバーから供する生ビールは夏の時期だけの限定販売で瓶ビールが主流。
ジョッキに注ぐ生ビールは夏の風物詩であり、ビアガーデンで飲むのが大人気でした。
びん生としてサッポロ黒ラベルがありましたが、まだ瓶入りの生よりラガービールがメインストリームでした。
300ml入りびんのサッポロぐい生が登場。手軽に生ビールを飲むコンセプト。これがヒット。
そして缶入りの黒ラベルが発売されます。

海外のビールに比べ日本のビールはどっしりした飲み口で、特にアメリカのナショナルブランドのビールとはフィーリングが違います。
軽い飲み口の輸入ビールを初めて飲んだ時の驚きは、それまでのビールの常識と違うまさにニューワールド。
夏の海でも都会の夜でも、お洒落で美味しいパートナーになりました。

海外に行った時は、まずはスーパーに行ってバドワイザーの6本パックを2つ買って、部屋の冷蔵庫に入れて熱い日差しの木陰で飲みます。
そんなひと時に幸せを感じました。
なので海外に行った時はいまだにホテルに着いて最初にするのはビールの買い出しになっています。

そんなバドワイザーもいつしかライセンス製造が始まり、僕らが恋した時代の味から大きく変わってしまいました。
ちょっとヤバい雰囲気があったとしても、少し酸化したようで缶臭さを感じるあの味が好きでした。
まあ、今飲んだらどう思うかは別ですが。

今とは違う意味で熱かった時代の事を、夏がテーマのドラマを観ていたら想い出しました。

あの時代を象徴する1曲だったら何がいいかなぁ。
やっぱりこれかな。あくまで自分的な趣味になりますが。
松田聖子で「ひまわりの丘」。

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