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【連載】大石孝次の「音楽な日常」第122回

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「大統領の誤算」

前回に引き続き今回も『サバイバー宿命の大統領』のシーズン3に関してお話しいたします。

シーズン1、シーズン2について。
まずはシーズン1。
非常にスリリングでアクション要素も含んだ、対テロや政権への野望などのドラマとしての要素が強かったです。
危機に瀕したアメリカの価値観やアメリカの新しい展開のようなものを描き出しており、見応えのあるシリーズでした。

シーズン2に入り、主人公が大統領として立ち向かわなければいけない事柄など、
現実感のある内容がよりリアルにピックアップされるようになっていきます。
リアルなアメリカというものが浮き彫りにされているような感じです。

そこにもともとあったテロの話であったり謎の組織だったりとか、だんだんと物語が国際化を含めながら進んでいきます。
また2つのストーリーが同時進行で走っており、それぞれを面白く見ることができました。

シーズン3になって、ここから一気に内容が変わっていきます。
時は大統領選挙が行われる時期に進みます。
カークランド大統領の二期目の選挙というものに焦点を置き、舞台はホワイトハウスでの奮闘と、選挙事務所を中心に進んでいきます。

内容的にはさらに政治という現実の部分について大きくピックアップされていきます。
日常で発生する非常に生々しい内容のテーマが巻き起こります。

マイノリティーの問題、トランスジェンダー、HIV、人種差別、
不法移民、児童婚、格差社会、薬物中毒、アルコール中毒、
尊厳死、核戦争、細菌バイオテロ、そして白人至上主義。

これらはドラマが作られた2019年のトランプ政権時期において問題視された事や、実際に起こっていたこと。
そして先の未来で発生する事件を予言するような事まで。
正直、新型のインフルエンザが発生したストーリーには、ギョッとさせられました。

皮肉というか、風刺みたいなものが大分含まれているのでしょうが、政治においても内部告発やスパイや二重スパイだったりと、
なかなかに複雑な状況というものがストーリーの中に散りばめられておりました、
さらにFBIとCIA、この2つの組織の存在の仕方であったり、態度、立場というものも赤裸々に描かれています。

このドラマシリーズを最後まで楽しんだ視聴者の意見の中に、ウエルズ捜査官というキャラが大きな存在としてフィーチャーされているのですが、
その捜査官がシースン3で無情にも、なんとも呆気ない形で幕切れを迎えてしまいます。
非常に大きな敵と戦っていたわけですが、視聴者目線で見るとこれほどまでに活躍していたキャラクターが、
想像を超えたあっさり感で残念な結末を迎えてしまい、さらにその大きな事件自体も中途半端な形で終息されてしまいます。

シーズン3が10話完結で制作されていたことや、ストーリーの展開も終末に向かって進んでいる訳であります。
ドラマを楽しんで見ていた視聴者には残念だった内容になってしまったことは否めません。

また政治は永遠に続いていくものであります。その後に大統領は再選されます。
この後も同じような事件や事故がたくさん巻き起こる事でしょう。
しかしそうして戦い続けていかなければなりません。といった感じのニュアンスと余韻を残して番組は終了されました。

このシリーズはなかなかお金のかかった大変なドラマだったと思います。
シリーズを続けて構成していくということは、たいへんにお金と時間がかかった内容だたと思われます。
社会風刺的な要素が強くなったり、エグゼクティブプロデューサーが何度も変わってしまうというような事もあり、
様々な見解や意見の相違みたいなものが、残念ながらドラマの寿命を縮めてしまったようです。

カークマン大統領役のキーファー・サザーランドの24ジャック・バウアーのイメージが、
なかなか払拭しきれなかったという意見もあるそうですが、そこまでは感じませんでした。
若い総理大臣に見えた事は、このドラマの大統領が発する存在感に対する人の見方というものを象徴していました。
また、大衆は簡単に情報で操られ、手のひらを返すように態度を一変させるなど、政治に対する弱さを露呈しております。
イデオロギーの差は国民性にもよりますが、ドラマの中で描かれていたものは、一貫した薄っぺらい国民感情と悪の美徳であった気がします。

本音では世間離れしていたとしても、もっとドキドキするようなドラマ映画でしかできないお話が見たかったです。
現実ではないリアルな雰囲気を含んだフィクションは安心して心配できるからです。
また次回作に期待したいと思います。

さて、この物語の終末に相応しい曲を聴きながらお別れしましょう。
ジョン・コルトレーンのアルバム「Ballads」より『too young to go steady』。

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