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【連載】大石孝次の「音楽な日常」第144回

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21年という期間

9月13日という日は、自分にとって運命の日といっても過言ではありません。

2001年の9月11日は皆さんの記憶に未だ生々しいアメリカでの同時多発テロが起きた日。
自宅に帰りテレビで放送されている、ツインタワーから流れだす煙に衝撃しました。
そしてそれから後に旅客機がもう1つのタワーに激突。
そして2つのタワーの崩壊。
これまでの常識が覆る衝撃の出来事でした。

その映像を観ながら、自分に起きている事にはまだ気づくことは出来ていませんでした。
その2日後、テレビの収録現場に行ったのですが、その日はとにかく体調が悪かったのでした。
地下の駅から地上に出る階段で、手すりにしがみつかないと進めない程酷い状態。
それにもかかわらず、ちょっとおかしいぞくらいにしか感じていない。
そもそもその判断力の低下が不調の最たるものだったのです。

現場についてからもスタッフにお任せして自分は椅子に座ってグッタリ。
出演者から救急車を呼んだほうが良いのではと言われるほどでした。
結局、そこから身動きも出来ず、スタッフに車で自宅まで送ってもらいました。

夕方に帰宅しましたが、寝込んだまま動くことも出来ず救急車を呼んで病院へ。
検査の結果、そのまま緊急入院することに。

自分としては入院に対する抵抗があったので、散々ごねました。
しかし実は「今夜が峠」だったのです。

完全看護の状況下で、翌日の朝を迎えることが出来ました。
朝になるとだんだんと自分が今どうなっているのか分かってきたのですが、しっかり把握できるような状態ではありませんでした。

昨夜は車いすで病室まで運ばれてきたのですが、朝に病室を移動するので歩いてくださいと言われました。
ベッドから立ち上がり傍らの点滴にしがみつきながら移動しました。
その時にはすっかり体力もなくなりふらつき、廊下を歩くのもままならない状況。
エレベーターの小さな段差にすら引っかかってバランスを崩してしまう始末。

そしてなによりびっくりしたのは目が見えなくなっていること。
手元が何も見えなくてぼうっとし、5m先くらいしかはっきりと認識できなくなっていました。
そこから様々な検査を受け、身体が元のような状態に戻るまで1週間以上かかりました。

そんな出来事から気が付けば21年の年が経過いたしました。
その時から毎月定期的な検査が必要な身体にはなってしまいましたが、そのお陰で健康との向き合い方が変わりました。
色々な検査が必要ではあるのですが、毎回結果を確認しながら対応しているので、病気以前とは比較にならない健康な状態です。

あの時、救急の受け入れが近くのエリアで出来ず、隣のエリアの病院に運ばれました。
正直に言って、それも運命を分けたと思っております。
運ばれた病院の当直の先生がそのまま担当医になってくれたのですが、自分に起きている病を専門にしている方だったのです。
搬送された時に自分の症状をみて疑問に思ったことがあり、通常以外の検査を入れて確認してくれていました。
それがなかったら原因が特定できず、場合によっては危険なことになっていたかもしれません。
地元のエリアの病院に運ばれていたら、今ここに帰ってこられなかったような気がします。

いくつもの偶然が重なり、21年目を迎えることが出来ました。
その前とその後では、人生は大きく変わりました。
果たして、それにどんな意味があるのか、あったのかは分かりません。

退院した時は、ここで生きながらえた事には意味がある、などと思っていました。
生きた証を残すことを一つの目的に据えようと考えていたこともあります。
今ではそんな意味や意義を見つけ出そうとは思わなくなりました。
何かを残すことは目的ではなくても、きっかけに出来ればと思うようになりました。

これから先、何を残せるかは分かりません。
それでも、その時々にそばにいてほしい時にそばにいられるような何かが出来たとしたら幸いです。

それでは今回の終わりは、3.11の出来事をきっかけに創った曲でお別れしたいと思います。

Stella Beatsで『Straight Lines』

https://youtu.be/hFkjbrrJuQE

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