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【連載】大石孝次の「音楽な日常」第104回

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『2020年の最終回』

2020年の12月は、例年とは随分と違った雰囲気になりました。

今年自体が全く違う1年だったので、仕方のないことです。
師走という言葉をテレビからも聞くこともなく、淡々と日々を送っているような感覚。

緊急事態宣言が発令されるという、初めての体験があったとき、今が最大の山場だと思っていました。
まさか、年末まで続くというか、さらに深刻化するとは考えていませんでした。
危機感を持って年末年始を迎えるという、前代未聞の暮れになりました。
安全に、冷静に。セーフティをキープしながら日々を過ごしましょう。
医療の最前線で活躍している皆さんに、本当に感謝しかありません。
自分も出来ることを考えて行動しなければなりません。

家族という一番小さなコミューンを守らなければなりません。
多くの人が家族について改めて考える時間となりました。
そのようなことは普通の日常ではあまりなかったかと思います。

いろいろなことがリセットされた状態です。
視点を変えると昔に戻ったみたいなのかもしれません。
急ぎすぎた時代に必要なブレーキをかけたのかもしれませんね。
過剰なやりすぎが止まらなくなった。
何でもあるのが当たり前になった。
結論が用意されていないといけない時代だったのかも。
不測の事態に手も足も出せなくなる、そんな体験をしたことがなかったのです。

昔のようなちょっとした不便さは、先の未来の便利に繋がっていきます。
小さくてささやかだけど、温かいものを見直すきっかけになりました。

大晦日に電車の終夜営業がなくなるのはいつぶりなんだろう。
ユーザー至上主義は高度成長時代が生み出した、日本的なビジネスモデル。
欧米とは考え方が全く違う訳です。
長い休みがあったら何をすればいいんだろう?
そんな考えはよその国にはありません。
エコノミックアニマルと揶揄されても仕方がありません。
そんな自分たちにはカンフル剤となった年だった思えば、これからの時間の使いかたに変化が起きるかもしれません。

年末、そして年始は、どのような雰囲気なのでしょうか。
これから来る未来に、少しづつの前進があることを願います。

立ち止まることはよいことなのです。
止まること、振り返ること、そしてまた前を向く。ゆっくり進む。
2021年はそんな年になるようにしたいです。

今年の最後を飾るのはどんな曲がいいかなと考えます。
今の気分にぴったりなアルバムはすぐに浮かびました。
この作品以外に、この1年を表現できるようなアルバムは見当たらないかもしれません。

BILLY JOELの「The Nylon Curtain」
時代の軋轢を絞り出すような作品であり、かつ音楽的な素晴らしさとメロディックな楽曲。
これほどまでにシニカルで泣けるアルバムはありません。

一番最初に思い浮かんだのは「Goodnight Saigon」。でもこれを選んでしまってはいけませんね。
「Allentown」も外しがたいのですが、ネガティブになってはいけません。

ということで、今年最後にご紹介する曲です。
アルバム「The Nylon Curtain」の最後に収録されております。
BILLY JOELで「Where’s The Orchestra?」をお聴きください。

それではよいお年を。

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