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【連載】大石孝次の「音楽な日常」第44回

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引っ越しをして数週間が経過し、ようやく新居の中も落ち着いてきた感じになりました。

とはいえ、玄関からリビングまでのスペースには折りたたまれた段ボールが並び、人は隙間を通るしかないほどの圧迫感のまま鎮座しておりました。
二週間を過ぎた昨日、段ボールは回収して貰い、短い廊下スペースもやっと開放する事が出来ました。
少しづつ生活スペースとしてのスタイルが形成されてまいりました。

引っ越しに際し、30年近く愛用しておりましたプリアンプとお別れいたしました。
骨董品の域に達していた名機との別れは惜しい物でしたが、新しい部屋では軽めのアンプに変えることにしました。

最近はなかなかステレオセットを使用して音楽を聴く機会がなくなっておりました。
オーディオのありかたも変化しております。
CDはデータに書き換えて保管するようになり、ライブラリー化するようになりました。
おかげで数千枚あったCDも1/5程度の量まで減らしておりました。

前の引っ越しの時はCDの量だけで気絶しそうだったことを思い出します。
ジャンルを分けて名前順にラックに収納するだけで数週間掛かりましたからねぇ。

そんな訳でプリアンプを購入し、久々にオーディオセットが部分開通(繋いでいない機械もまだ沢山あるので)いたしました。
さて、ここからが面倒な作業です。
アンプのチューニングやスピーカーの調整などを行います。
いくつかのCDをピックアップして音のバランスを確認します。

◇ゲッツ/ジルベルト「ゲッツ/ジルベルト」
ジョアンとアストラッドの声のリアル感と息づかいやノイズ、ゲッツのホーンのリアル感と空気感で音のバランスをみます。

◇ウェス・モンゴメリー「ロード・ソング」
音楽全体のバランス、アレンジの空気感、各楽器の音質、ドン・セベスキーのアレンジの表現力を発揮できているか。

◇ポール・マッカートニー「パイプス・オブ・ピース」
ドラムの位置や左右のバランス、高音域の空気感など。

◇ハンス・ピシュナー「平均律クラヴィーア曲集」
多彩な高音域の表現力。

◇U2「ヨシュア・トゥリー」
各楽器のバランス、中低音の鳴りとまとまり。

◇Crass「Yes Sir, I Will」
このアルバムに出会ったのは35年前。衝撃の1枚でした。
パンクロックと出会い、少ない情報の中でバンド活動を始め、とにかく出来る範囲で音楽を聴きまくっていた頃。
この革命的なアルバムを聴き、ある種の恐怖を感じ、かつ自分が欲しかったモノを一つ見つけたような気持ちになりました。
久しぶりにこのアルバムをCDプレイヤーに乗せ、新しく組んだオーディオシステムでサウンドを確認いたします。
計算されたインプロビゼーションで攻撃的なメッセージ、フォークランド紛争と政府に対するプロパガンダ。
パンクだけに留まらずロック史の中でも偉大な作品であります。
パンクのプログレ作。レコードではAB面になっておりますが、全て繋がった1曲としてまとまっています。それが凄い。
今になって、どのようにこの作品を演奏し、ライブしていたのか分かるようになりましたが、当時はその姿を観ることが出来ず全ては謎の中にありました。
混然一体となったカオスの塊の全てを最後まで一気に聴きました。
時は流れていましたが、このアルバムの持つパワーは色褪せることなくここにありました。

Crassの中でも唯一無二なこのアルバムでサウンドチェックは終了です。

お手軽なアンプを購入したので細かい部分までは調整出来ませんが、出来る範囲で好みのサウンドに近づけました。
さあ、準備は出来ました。ここから新たな音楽が誕生するべくがんばらなければ。

新たなサウンドシステムからお薦めする1曲は…
ジョージ・ハリスンのアルバム「Cloud Nine」より「When We Was Fab」。

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