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【連載】芳田賢明「memorygram」第36回

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M10-Rを買ってしまった

みなさんこんにちは。
イメージングディレクター/フォトグラファーの芳田賢明(よしだ たかあき)です。
ラジオのレギュラー番組だと思っていろいろ書いてみる、連載「memorygram」第36回です。

2015年から使い続けてきた、私にライカというものを教えてくれたM9。
このカメラには、CCDのコーティング層が剥離するという不具合があり、私も一度センサーの無料交換をしています。
やがて、剥離の対策が行われたセンサーが開発され、それ以降は対策済みのセンサーへの交換が行われてきました。
しかし昨年8月、その対策済みセンサーの製造が終了し、センサー交換を要する修理も終了となりました。

私がセンサーを交換してもらったのは、対策済みセンサーが流通し始める直前。つまり、いずれもう一度交換が必要でした。
しかし、センサーを交換することで描写が変わるのを恐れたのと、なんとなく点検に出すのが億劫で、そのままにしていたのです。
普段使っていて異常もなく、そんな簡単にまた剥離するものではないだろう、とも思っていました。
その間、M10でもM9と同様の色調表現ができる現像パラメーターを作り、高感度で撮れないM9はサブ機となり、現役引退の状態でした。

新型コロナウイルスの影響で電話予約制となっていたライカカスタマーケアが、Webで予約が取れるようになり、やっと銀座店へ訪問。
点検の結果は、コーティング槽の剥離、でした。やはりなってしまうのか、と。
もちろん修理は不可能。提示される選択肢は、そのまま返却か、特別価格での現行機種への買い替えです。
そこには、かなりの割引率で各機種の価格が記されています。修理ができなくなってしまったことへのお詫びが込められた価格とのこと。

悩みました。M9にはかなり愛着がありました。
ただ、このままだと実質的にサブ機ではなく置き物になってしまう。
将来的に買い替えを考えたとき、もうライカは下取りをしないかもしれない。
カメラ店での買取額は既に、対策前のセンサーだと信じられないくらいの低額になっている。
そして何より、高すぎて検討もしていなかったM10-Rが、今なら手に届く範囲で買えるということ。

Q2への買い替えも考えましたが、汎用性を考えればM型だし、高画素機を持っておけば対応できる幅も広がる。
噂されているM11も気になりますが、ベースプレートがないとか、EVFが搭載されるとか、自分にとってのM型とは相入れない噂もあり。
それにいつものように、M11を予約してもなかなか手に入らないのは確実でしょう。

あのタイミングでM9を手にできたのも縁。
だとしたら、このタイミングでM10-Rが買えるチャンスが巡ってきたのも縁。
そう考えることにしました。

決断をして、購入の予約を入れ、再びライカカスタマーケアへ。
白衣の技術者としばらくライカ談義をした後、ライカの紙袋を受け取り、途中で襲われないか怯えながら帰りました。
IMG_6645
 
まずはM10と同条件でテスト撮影し、現像パラメータを作り込むところからです。
まだちゃんとした撮影には行けていませんが、軽く撮った感じでは、やはりそのままではM10とは色調が違いそうです。

見た目やサイズ、重量は全く変わりませんが、シャッターフィーリングが全く違います。
M10はわりとしっかりとしたシャッター感がありますが、M10-Rはとても静かでショックも少ない。
かつてはシャッター音の違いでもM9とM10を使い分けていましたが、M10とM10-Rでも同じようになるかもしれません。
あとは基準感度がISO100なのは大きいですね。M10でも撮れますが、ダイナミックレンジが狭くなってしまうので使っていません。

ただ一つ気になっているのは、M10-Rはデータが大きいからだと思いますが、撮影直後に画像を再生すると前のコマが出てしまうこと。
チンピングなんてするなって話かもしれませんが、ここだけはちょっとカメラのペースに合わせてあげないといけなそうです。
一応、高速のSDカードを使って、本体でフォーマットして使っているのですが、解決方法をご存知の方がいらしたら、インスタのDMでもいいので教えてください。

開け慣れた箱で、使い慣れたカメラなので、正直「買ったぞ!」という感動はあまりありません。
きっとこれから撮影を重ねていく中で、じわじわと感動していくのでしょう。

 
そしてお知らせ。
10月15日発売『コマーシャル・フォト』2021年11月号の、解析特集「レンズ解体新書」を執筆しました。
照明機材とフルサイズミラーレスカメラに続き、解体新書第3弾。今回はメイン特集の扱いでございます。
http://www.genkosha.co.jp/cp/backnumber/4827.html
キヤノン、ニコン、ソニーの大三元と中望遠マクロを検証しています。特にレフ機からミラーレスに移行を考えている方は必見です。
他ではなかなか見られない分析をしているので、ぜひお求めください。


【プロフィール】
芳田 賢明
(よしだ たかあき)
イメージングディレクター/フォトグラファー。
「クオリティの高い撮影・RAW現像で、良い写真を楽につくる」をテーマに写真制作ディレクションを行っている。撮影ではポートレートや舞台裏のオフショット撮影を得意とする。
Webサイト…https://atmai.net/
Instagram…https://www.instagram.com/takaaki_yoshida_/


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芳田賢明 著、プロカメラマンに向けた[仕事に即役立つ本]
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