20年の時空を超えて
20年前2001年、21世紀がスタートしたばかりのこの年、世界を震撼させる大きな事件があった。
ニューヨーク世界貿易センタービルへの飛行機によるテロである。
9月11日、この日をもって世界の流れは大きく変わった。
ちょうどこの日は夜10時前に家に帰り、家族が「何かがあったみたいだよ」とテレビを観ながら言っていた。
何があったのかと思い一緒にテレビを観ていると、画面の左側からジェット機が世界貿易センタービルに突っ込んだ瞬間を目撃することになった。
このような衝撃は人生の中でも体験したことがなかったので、震えながら深夜までニュース番組を見続けていた。
そしてその2日後、9月13日に仕事の現場で体調が悪くなり、スタッフに家まで送ってもらった。
しかし、自宅で寝ていても具合の悪さがどんどんひどくなっていき、耐えられないところまで来てしまった。
救急車を呼んでそのまま病院に搬送。
検査を受けた結果、即入院というような形になった。
いったい自分に何が起きているのか理解もできないまま、後から思えばその夜が峠だったようである。
今思えばこの20年前の出来事「911事件」の時から確実に自分の人生にも変化が起きてしまった。
そこから退院するまで1ヵ月弱かかったのだが、その時を思うと今回のコロナ入院において奇妙な縁を感じることがある。
まず1つ。
以前にこの「音楽な日常」の中にも書いたことがあるが、テレビアニメの「フルーツバスケット」という作品。
この作品を作ったスタッフの皆さんが主催する「大地会」という集まりに参加させてもらい、各地の温泉などを一緒に旅したことがある。
入院中テレビを観られるようになったときに「フルーツバスケット」がテレビでオンエアされていた。
たまたま観た回はキャラクターたちが温泉旅行に行く話だった。
その作品を見ながら以前に行った大地会での温泉旅行のことを思い出した。
旅行で体験したような場面と映像がリンクするように思い出深いものを感じることができた。
一見、些細なことかもしれないけれど、入院して心も体も弱っている自分にとっては大きな安らぎと支えになるような作品だった。
それから20年経った今、また入院することになってしまったが、その入院期間中「フルーツバスケット」のテレビアニメが放映されていた。
全てのストーリーを完結させる、その長い物語の一番ラストのシリーズが入院の時期と重なっていた。
入院中には番組を観ることはできなかったが、自宅で予約録画をしていたモノを退院後にじっくりと鑑賞した。
物語はクラマックスに差し掛かり、様々な心模様や心の葛藤が描き出されていた。
最終回ではすべての人の魂が救われる、そんなエンディングになっていた。
20年前に放送されていたフルーツバスケットでは物語の前半部分までしか語られていなかったが、制作スタッフは変わり20年の時を越えてこの長い物語のエンディングをしっかりと見ることができた。
それはとても嬉しいことであった。
入院したときに初めて見た作品が、20年後また入院したときに終わりを迎えるなんて、なんとも奇妙な縁を感じるのである。
そしてもう一つ。20年前に入院していた時にNHKの朝の連続テレビ小説では「ちゅらさん」を放送していた。
ちょうど「ちゅらさん」のストーリーがクライマックスに向かっていた3週間を毎日観ていた。
当時はNHK総合とBSでそれぞれに本放送と再放送があり、1日4回同じ作品を観ることが習慣になっていた。
今回の入院では「おかえりモネ」を放送している。
朝の連続テレビ小説を最近はあまり観なくなってしまった。
「あまちゃん」以降は観ていないかもしれない。
「おかえりモネ」の話題は聞いていて、数回観た事はあったが、しっかりと腰を据えて観だしたのは入院してからとなった。
観ていないストーリーがわからなくても、この作品は観やすい作りになっている。
特に主人公の感情の機微がうまく伝わってきて、すぐにどっぷりとストーリーにのめり込んでいった。
もちろんそれ以降毎日観ることが楽しみになっている。
入院生活というのはどうしても単純な毎日の繰り返しのようになってしまうので、その生活の中で楽しいものを自分なりに見つけ出さなければいけない。
習慣性があり毎日同じ時間放送されるこの短いドラマが、観ている人の生活のリズムとなり、そして楽しみとなり支えとなっていく。
入院時という特殊なタイミングで出会えたこのドラマ作品が、自分の助けになる良い作品たちであったこと、これは筆舌に尽くしがたい。
日々の支えになった事は間違いないのである。
サンキュー「ちゅらさん」、サンキュー「おかえりモネ」、そして「フルーツバスケット」。
単調な入院ライフに花を添えてくれましたとさ。
という訳で、今回最後にお届けするのは、2001年放送の「フルーツバスケット」のOPテーマ曲。
今は亡き、となってしまった岡崎律子さんの歌で「For フルーツバスケット」をどうぞ。
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