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【連載】大石孝次の「音楽な日常」第42回

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ここしばらく新作の映画を観ることがなかったのですが、飛行機に搭乗したのをきっかけに1本の作品と出会いました。
その映画は「8年越しの花嫁 奇跡の実話」という作品です。

この作品の昨年の公開前に、劇場で予告編を観ていました。
正直に言いますと、かなり厳しそうな内容に思えて、自ら望んで観ようとするジャンルではありませんです。

ラブストーリーなどは観ることはありますが、この作品は事実をベースに描かれた過酷であるがゆえに強烈なインパクトのある作品です。
タイトルに「奇跡の実話」と付いている、壮絶な試練に立ち向かう真実の愛の物語でした。

主人公の佐藤健さんと、もう一人の主人公・恋人役の土屋太鳳さん。
結婚を約束した幸せな二人に前触れもなく訪れる突然の悲劇。

突如、婚約者の麻衣さんが謎の病気で倒れてしまう。
一度は死の淵までいってしまうも一命は取り留める。
しかし、そこから眠ったままの状態が続いていく…
その恋人に献身的に寄り添う尚志さん。
その二人の葛藤を中心に周りの人々との人間模様が描かれております。

事実と同様にラストはハッピーエンドを迎えます。
これは公開前の予告やトレーラー、公式サイトなどでオープンにされている内容なのでネタバレではありませんので。

ただのラブストーリーではありませんでした。
飛行機の通路側に座っていたのですが、通路を挟んだ斜め前に座っていた女性の方も同じくこの作品をご覧になっていました。
映画の中盤以降、これはヤバイと思いハンカチを座席テーブルに用意して作品に臨んでおりました。
案の定、遠慮なく涙がこみ上げてまいります。
まさにシンクロしたかのように、斜め前のご婦人と同じタイミングで涙をぬぐっている自分が面白かったです。

正直、麻衣さんが倒れてからの日々は、本当に衝撃的で過酷な日々です。
体当たりの土屋さんの迫真の演技は鬼気迫るものがありました。
そして考えてしまうのは「これが自分に起きたことだとしたら」という問いかけです。
やはりそれは恐怖なのだと思います。
しかしそれを諦めず、寄り添う家族と婚約者。

更にこの作品のもう一つのテーマが「家族」の定義とは一体何か?ということです。
結婚を目前に訪れた危機的な出来事、婚約者と患者となった娘の家族との間にあるモノ。
その大きな隔たりをどう乗り越えて家族になっていくか。
この作品ではとても優しくも厳しく表現されておりました。

愛するがゆえに起こっていく葛藤。
そしてなくしてしまった愛を、新しい愛として書き直そうとしていく姿。
バックボーンが事実であるという究極の説得力を持ってラストを迎えます。
一度観た後の感想は非常に重いものとして圧し掛かってきました。
物語はハッピーエンドを迎えても、更に心にずしんとしたものが静かに残りました。

帰りの飛行機で今一度この作品にトライしました。
二度観たときには違う感想を持つからです。
二度目は流石にストーリーをつかんでおりますので前程ではありませんが、それでもやはりこの事実は衝撃的な展開なのであります。
でも今回はしっかりとラブストーリーとして観ることが出来ました。
ディテールがしっかりしている分、1回では作品を全て理解して楽しめるところまでいけませんでした。
やはり、主人公を自分に置き換えるという作業が先に立ってしまう、いわゆる作品とのシンクロ率が高すぎてしまうと作中世界で右往左往して楽しんでいる余裕が生まれないのです。
2回目からは俯瞰して作品に取り組めるので、時間を置いてでも3回くらいは観ないとダメな性質なので。

と、今回は苦手ジャンルの映画作品に翻弄されてしまったお話でした。
後から分かったのですが、この作品に引き込まれた理由の一つが、自分の好きなシナリオライターである「岡田惠和さん」の脚本でした。
やはり好みの作風には、それを知らずとも「引き込まれてしまう事実」を改めて感じることが出来ました。

最近の邦画はあまり観ておりませんでしたが、こちらはなかなかの問題作としてお勧めいたします。
愛する人が居る方には特にお勧めです。

この作品にとてもマッチした主題歌であるback numberの「瞬き」もぜひお聞き下さい。

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