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【連載】大石孝次の「音楽な日常」第30回

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『12月のちょっぴり静かな夜の過ごし方』

いよいよ2017年、平成29年も師走を迎えました。
今年も一ヶ月を切った訳ですね。

残念なことに今年は「深まりゆく秋」を感じる間もなく冬に突入しました。
夏も唐突に終わった感じでしたし、季節は少しづつ地球規模で変化を始めているのかもしれません。

寒暖の差が激しく、昼はそこそこ暖かくて夜は一気に冷え込む、そんな日が多く続いていますね。
体調管理が難しいので、みなさんも充分お気を付けください。

12月ともなると、一年を振り返るような機会もあるかと思います。
仕事や学業をはじめ、様々な側面で普段あまり行わなかった「振り返り」という事をしてみたりするものです。

今年は個人的には一大事の連続で、一つの節目を迎えた年になりました。
なんでもない日常を送れる事が、如何に幸福な事なのかと実感する一年でした。

かなりな大事があったとしても、如何にそれを素早く咀嚼し流していくか。
多感な若い頃には出来なかった芸当が、年を重ねることによって不思議と自然と出来るようになっていくのです。
大人になるという事はそんな事なのかもしれません。

12月の夜には不思議な魔法がかけられる日がいくつかあります。
普段感じないような孤独を感じたりする夜もあるものです。
そして、何故かそんな夜は妙にゆっくりと時間が過ぎるものだったりします。

そんな夜に似合いの映画を2本ご紹介いたします。
1本は前にもお話ししたことがあるかもしれません。

どちらも主役はビル・マーレイ。
サタデー・ナイト・ライブの人気者。ゴーストバスターズのリーダー役がお馴染です。
ご紹介するのは我が家ではクリスマスの定番作品である「3人のゴースト」
クリスマスにはぜひお薦めの作品です。

そしてもう1本。
ソフィア・コッポラ監督が日本を舞台に製作した「ロスト・イン・トランスレーション」です。

ビル・マーレイが演じるのは著名な俳優役。
ウイスキーのCM撮影に日本にやって来たところからストーリーは始まります。
昔のサントリーCMでショーン・コネリーを起用していた作品を隠さずモチーフにしているところが面白いです。

監督が日本贔屓であるがゆえに、所謂ところの欧米映画で表現される日本とはずいぶん違い、リアルな日本が描かれています。
街、人、カルチャー、どれもが綺麗に、ある意味欧米的なスタンスの映像に表現されています。

東京の高層ホテルに缶詰にされた孤独な有名俳優が、同じく孤独に同じホテルで過ごしている女性と巡り合う。
異国で出会った、自国ではまず巡り合うことのないような2人が、優しく短い時を過ごしていくという物語です。

ヒロイン役のスカーレット・ヨハンソンが何とも言えない魅力を発揮しています。
単なる美人女優などとは違う、どちらかというと個性的なキャラクターの女優という印象を持っています。
その彼女が演じる一般の女性像は、どことなくミスマッチで、そしてコケティッシュで可愛いのです。

何か大きな事件が起きるわけでもない物語です。
東京という都市空間の中に取り残された孤独な男女の姿だけです。

そしてさらに、この物語を観る事を通して、この都市に迷走している孤独な自分がそこにいる訳です。

この2つの映画作品に共通しているのは、主人公が孤独であるという事です。
喧噪の世界で生きていながら、ドアを開け自室に入った瞬間、そこにあるのは孤独なのです。
そして映画のラストでは、また喧噪の中に戻っていく姿が描かれています。

12月の夜、ふと孤独を感じ、自分を見つめ直してみる。
そんな時間があっても良いのではないでしょうか。

また、そんな孤独の夜に、どこかに出かけるとしたら、あなたは何処に行きますか?

ビル・マーレイが演じる主人公のように、1杯のグラスを傾けに出かけましょうか。

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