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【連載】大石孝次の「音楽な日常」第98回

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40周年記念によせて

今年、松田聖子さんはデビュー40周年を迎えました。
それだけの時間が流れたのですねぇ。

デビュー当時からテレビ、ラジオで毎日のように観ておりました。
この連載においても、何度か話題に取り上げてまいりましたが、やはりそれだけ大きな存在として君臨されております。
特に十代の多感な時期に聞いていた曲には思い入れがあります。

歌もさることながら、メロディー、アレンジ、演奏など、心に残るサウンドたちが自分の音楽の根底に根ざしています。
特別な存在であるアルバムを、改めてご紹介したいと思います。

1stアルバム『SQUALL』
まだこのアルバムが出た時は、その秘めたる可能性の全てを理解することは出来ず、とにかくジャケット写真の完成度の高さに衝撃を覚えました。少年の心をくすぐるにはあまりあるインパクトでありました。

2ndアルバム『North Wind』
自分が一気に好きになったのはこのアルバムからです。
アイドル感満載の松田聖子のアウトラインがはっきりと明確に押し出されたアルバムです。
1曲目からキャッチーなサウンドで他に聞いたことのない鮮烈さがありました。
それと同じく当時彼女がパーソナリティをやっていたラジオ番組のオープニング曲に使用されていたのが、このアルバムのB面の1曲目「Only My Love」。
非常に初々しい伸びのあるハイトーンのサビは、当時のアイドル歌手の誰も出せない艶やかな歌声で、ラジオ番組を聞きこのオープニングを聴くことが週に1度の楽しい時間となりました。

3rdアルバム『Silhouette 〜シルエット〜』
今までのアルバムとサウンドセンスが変わり夏アルバムにふさわしい爽やかさが全面に出ています。
A面の2曲目「白い貝のブローチ」。この曲は松田聖子ファンなら全ての人が大好きである曲。
この曲を聞くと夏のイメージが頭にぱっと広がる、そんな印象的な曲です。
そして3曲目に入っている「Sailing」。この曲がこのアルバムを象徴する夏の1曲です。
一つの夏の物語を印象付ける青春ソングとして、深く心に印象付けられました。
「チェリーブラッサム」「夏の扉」という松田聖子黄金時代のシングル曲が2曲収録されています。

4thアルバム『風立ちぬ』
このアルバムから作曲アレンジに大瀧詠一が参加。
松田聖子の可能性を最大限に高めることが出来る、アイドルから一歩づつ大人になっていくアーティストとしての松田聖子を確立した最高傑作です。
1曲目から最後までプログレッシブ・アルバムとして通して聴くことが出来る、コンセプトアルバムと言っても過言ではありません。
特に名曲揃いの内容ですが「いちご畑でつかまえて」の大瀧サウンドと一体になるべく挑戦している初々しいポテンシャルは、マックスなアイドル感が凝縮されているように感じられます。
アルバムのコンセプトの明確なカラーになり非常に大切な楽曲となっています。
「一千一秒物語」「流星ナイト」「December Morning」と、松田聖子の歴史を飾る上に忘れられられない楽曲たちが揃っています。
また自分の個人的に大好きな曲である「雨のリゾート」も収録されていて、自分の精神を語る上でも忘れられない大切な1枚になっています。
シングルの「風立ちぬ」「白いパラソル」が収録されており、アルバムのポテンシャルをさらに引き上げています。

5thアルバム『Pineapple』
またここで大いなる進化というか、大イメチェンが発生しました。
このアルバムの発売時、あの長かった伝説の【聖子ちゃんカット】からベリーショートに髪を切り、夏感満載になっていました。
彼女もアイドルとしての新しい側面を模索しているかのように、このアルバムの内容も今までとガラリッと、大きくサウンドが変わった冒険的なアルバムです。
1曲目の「P・R・E・S・E・N・T」、2曲目の「パイナップル・アイランド」は透明感と水色の空が見えるような曲が続きます。
その後に「ひまわりの丘」という傑作が収録されています。この曲も永遠に松田聖子ファンは愛し続ける象徴的な曲であります。
アルバムの最後に入る曲。1つのアルバムを終了させるに相応しい曲がどのアルバムでも採用されています。
明るい爽やかなだけではなく、切なかったり、寂しかったり、哀愁を漂わせる曲が多く収録されています。
このPineappleでも夏の終わりを予感させる「SUNSET BEACH」という曲が収録されています。
アルバムの完成度はその最後の曲によって高められています。
このアルバムには「渚のバルコニー」「赤いスイートピー」というシングル曲の代表作が収録され、アルバムに花を添えています。

6thアルバム『Candy』
このアルバムは冬コンセプトのアルバムとして最も優れたアルバムだと思います。
このアルバムの収録曲は秀作が揃っていて、1曲目の「星空のドライブ」は脳天をやられてしまうほどの名曲です。
大人の階段を歩みつつも、恵まれた歌唱力でアイドルとして出来る楽曲の表現を最大限に発揮しています。
シングル曲は「野ばらのエチュード」のみ収録。
アルバムの収録曲のうち9曲がアルバム用に制作された楽曲。今までの流れと大きく違っているところであります。
作家陣は大瀧詠一、南佳孝、財津和夫、細野晴臣、大村雅朗。
松田聖子を支えてきた素晴らしい作曲家と、全編の作詞は松本隆。
アイドルポップスの明確な世界観が描かれており、作家、歌手、演奏家と、すべてのバランスが1つにまとまり最高のクオリティーにつながっています。
一番最後の曲「真冬の恋人たち」この曲は、コーラスの杉真理との掛け合いのパートが、このアルバムに彩りを添えています。

自分にとってこの6枚のアルバムが松田聖子の全てであり、次のアルバム以降は離れていきました。
とくに5枚のアルバムが自分に与えた影響は大きく、10代の自分の音楽に携わる骨格として明確なものになっています。

歌詞、楽曲、作曲、編曲、全てにおいて自分の音楽人生に与えた影響は計り知れないほど大きく、今でもこのアルバムは宝物として大切にしています。
永遠に超えることのできない大きな作品を少年時代に植え付けられ、そしてその憧れを40年経った今でも持ち続けられていることに感謝と誇りを持っております。
いつかこのような素晴らしい作品が誕生することを心待ちにしており、少しでも自分が携わる音楽でお返しすることができたら幸いである、そんなふうに思いながら日々過ごしております。
素晴らしいものはなくならず語り継がれていく、それを自分が証明しているのだとも思っております。

前記になりますが6thアルバム『Candy』の発売と同時期に発売されたクリスマスアルバム『金色のリボン』。
こちらに収録の「HAPPY SUNDAY」も彼女のラジオ番組から誕生した秀曲であることを追記いたします。

さあ、40周年を飾る名曲を選出するのは大変な作業でありますが、アルバムには未収録ながら燦然と輝く名曲をご紹介しましょう。
「青い珊瑚礁」のカップリング曲「TRUE LOVE〜そっとくちづけて」そして「赤いスイートピー」のカップリング曲「制服」。
どちらも大好きで松田聖子さんの歴史に残る楽曲です。
お聴き下さい。

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