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【連載】大石孝次の「音楽な日常」第68回

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今年、50周年を迎えるものがあります。
そして12月に50作目が公開される予定と、なんとも嬉しい限りなのです。

そうです。お分かりになりますか?
映画「男はつらいよ」シリーズの事なのであります。

タイトルは聞いたことがあっても、本編をご覧になったことの無い方が多いかと思います。
作品は49作というロングセラーなシリーズです。

しかし48作目を最後に主演の渥美清さんが亡くなってしまいます。
盆と正月に1作ずつ公開する映画シリーズは他に例もなく、日本映画がメインカルチャーだった時代から続く最後の作品でした。
49作目は亡くなった1年後に新作映像とリニューアルマスター化した、シリーズでも名作の誉れ高い「寅次郎ハイビスカスの花」を再編集した作品が公開されました。

実は子どもの頃からこの寅さんシリーズを父親と観に行っていました。
この頃の松竹は2本立てが基本。映画を2本も観られるという贅沢を覚えた最初かもしれません。

中学に入るころには一人で自主的に観に行くようになりました。
面白かった逸話があります。
夏でしたね、地元の松竹の封切館(大きな劇場でした)の窓口に行って「学生1枚」とチケットを購入しようとしたら、窓口の女性に「ガンダム?」と言われました。
「???、違います、寅さんです!」と答えると「あらっ、御免なさい」と笑っておりました。
この年の夏に松竹系でガンダムの劇場版第1作が公開される為、前売り券を販売していたのです。
小中学生が松竹の劇場にふらっと映画を観に来るのは、ちょっと考えにくいことでしたよね。
私も笑いながら劇場に入っていきました。

その時に観た作品が奇しくも「寅次郎ハイビスカスの花」でした。
この作品の舞台である沖縄がまだまだ遠くの地であった時代のお話です。

何故、急に男はつらいよのお話しをしようかと思ったかというと少し訳があります。
50周年記念としてBSで毎週このシリーズを放映しております。
それを録画をするものの、なかなか観るタイミングがなかったのです。
ここ最近の忙しさの中で、ふと旅行にでも行きたいなぁ、などと思っている時に、旅に連れていってくれるこの人「車寅次郎」を思い出したのです。

子ども心に日本中を旅しながら暮らしていく、こんな人生もあるんだなぁと、万人に分かりやすく世の甘さ厳しさを語ってくれる作品なのであります。
決して明るいだけのお話ではありませんし、日本の家族事情やしがらみ、情念や悲哀、そして優しさや思いやりに溢れた作品なのです。
このシリーズを通じて知ったことや感じたことが沢山ありましたし、不思議な旅の疑似体験をしたように思います。

改めて昔の作品を観ていると、当時の日本を垣間見ることが出来ます。
ほんの数十年前なのに大きく世の中が変化した事や、人情のあり方などが変わった事に気付きます。
しかし、映像の中にある空間は、懐かしくもやさしい小さな国の想い出のように感じます。

後年の作品は劇場から足が遠のいてしまい、平成になるころは観ず仕舞いになっているモノもあります。
自分も寅さんと共に年を取り、世の流れと共に変わりだしていった証なのかもしれません。

そんな寅さんが今年帰ってきます。
懐かしい師走の時期に毎年のお馴染さんであった寅さんが帰って来るのです。
まだまだ想像の中でしかありませんが、あれから数十年の時を経た現在の柴又に時間を超えて帰って来るというと、どんなことになるのでしょうかね?
今年の冬に楽しみが出来ました。

時は流れ時代は変わり世の全てが変化した今に、あの頃の寅さんが帰ってきたらどうなんだろうなぁ。
寅さんの時は二十数年前に止まっております。気が付けば年号も令和に変わりました。
でも、今でも会いたいのはあの頃の寅さんなのです。

さて、そんなフーテン男の旅と純情をイメージして聴きたい1曲はなんでしょう。
それでは寅さんを支えたマドンナたちをイメージして、ビリー・ジョエルで「She’s Always a Woman」

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