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【連載】大石孝次の「音楽な日常」第64回

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studioという場所

最近はおかげさまでいろいろな制作作業がありまして、あちこちのスタジオにご厄介になっております。

このスタジオという場所は千差万別で、用途によって、そして規模によっても全て違う訳であります。
自分は主にレコーディングスタジオ、ミックス及びマスタリングスタジオというところが主戦場です。
歌のレコーディングをはじめ、音楽のミックスやリミックス、用途に合わせた音源を作ったり編集したりしています。

スタジオとセットになっているのがエンジニアという、そこにある機材のことから音源を調整する作業や歌などの収録など、多岐にわたって作業をする方です。
そのバランス感で自分との相性などもあったりするのですね。

一番古く、一緒に作業をしたスタジオが下北沢にありました。後に表参道の方に移転するのですが、そこの主が自分の音楽の最初のパートナーだった男です。
現在は音楽業界からは足を洗って別の仕事をしておりますが、人間がミュージシャンなのでギターを弾いたり歌ったりしていると思います。

そのスタジオに初めて行った時は、まだスタジオを自力で作っている最中でした。
3階建ての建物の2階に作っていたのですが、長く使われていなかった部屋(元お店)を改造して徐々に形にしている最中でした。
そんな感じなので窓の外のひさしのところにハトが住んでいてクークー鳴いていたり、まあまあ色々と大変な状況でした。

自分がレコーディング活動を始めた最初の曲は、声優の松来未祐ちゃんの「ちいさな翼」という曲です。
その曲のレコーディングは別のスタジオだったのですが、その曲の作曲と編曲をしたのが、そのオンボロスタジオを作っていた男でした。
その縁でそこからの数年間、数々の曲の制作を一緒にやってもらいました。

みゆみゆ(松来さんの愛称)の「ちいさな翼」はランティスさんから発売された1stベストアルバム「Memories」に収録されております。
今は亡きみゆみゆとの大切な思い出の作品です。
ちなみに、みゆみゆが歌った幻の曲「スペース赤ちゃんのテーマ」は、誰も知らない曲ではありますが、作詞作曲そして演奏も自分がやっております。
いつの日か世に出すことがあったならぜひ聴いてください。なさそうですが。

そんな感じで、完成した下北沢のスタジオでは数々の楽曲が誕生いたしました。
みなさんの名誉の為(?)誰が歌ったかと参加したとかは割愛いたしますが、自分としてもやりながら学んでいた時期だったので、かなり熱い魂で制作にいそしんでおりました。
その当時、参加してくれたみなさんも今では中堅というかベテランですよ。時は流れたねぇ。
でも、今でもたまに連絡があったり、久しぶりでも違和感なく会って話が出来る仲間であります。
一緒に作ってる感覚を共有できた人たちが多かったからね。正にそれは宝なのです。

スタジオが下北沢から表参道に引っ越したころ、仕事の中身も徐々に変化していて、自分が作ったアニメの主題歌やサントラの制作など、仕事の内容も多岐に渡っていた時期ですね。

並行してラジオのディレクターやパーソナリティなども始めていた頃で、ラジオの収録スタジオも沢山使わせて貰ってました。
でもその当時はまだ若かったと思いますね。当たり前ですが仕事の仕方も時の流れで変化していきました。

ある程度の経験を積むまでは、制作が遅いデビューの人なので、本数とスピード、そして集中力を結集して挑んでいました。
本来、それは主たる仕事ではなかったのですよ、言ってみればついでにやらせてもらってるような感じなのでしたが、やりたい仕事はそっちだったので、本業そっちのけで取り組んでいました。
その当時は会社員でサラリーマン(一般のサラリーマンとは違いますが)でしたが、ぶっちぎって制作を始めてしまったホントは営業部の人間だったのです。

思えば異端なことをやらせてもらっておりましたが(会社からすれば小さなことなので表に出ず目立たぬようにやっていた)、まだ時代が多少は優しかったのかなと思います。
それが表に出た時に、営業部の別セクションの会議に説教されに呼び出されたことがありました。自分は相当に鼻っ柱が強かったので、討ち入りに行くような気持で会議室に乗り込んで行ったことを思い出します。
喧嘩上等と思っていたんだか、後になってから反省しましたしお詫びも致しましたけどね。
まあ、勢いがあったのは事実で、勝手を散々やっていたのでしょう、きっと(自分では判断出来ないので)。

あっちこっち話が飛びましたが、その会社にもかなり大きなレコーディングスタジオとアフレコのスタジオ、編集スタジオなど様々なスタジオがありました。
一般社員は立ち入り禁止になっているレコーディングスタジオに、制作部以外で気軽に(勝手に)出入りが出来たのは自分だけでした。
それもスタジオの大将と毎朝コーヒーを飲みながら雑談をする為に通っていたという、これまた不思議なキャラで登場しておりました。

そんな風に、音楽やアニメ、ラジオという自分の三種の神器を作り上げるのがスタジオなのであります。

今回、思い出しながら書いていたら、色々と思い出せるもので、じっくりと最初から振り返っていろいろと思い出しながら自叙伝でも書いてみようかと思うようなネタでありました。
喋りだすとキリのないお話なので、よく考えてまた綴ってみたいと思います。

それでは今回のお話に出てきました曲を聴いてもらいたいと思います。
もちろん松来未祐ちゃんの「ちいさな翼」。
知っている人は知っている秘密、一番最初に作ったverとリミックスしたverがあり、CDにはリミックスが収録されています。
実はもう1verあるんですね〜。これは商品化されていない(?)で、ライブで使用したアコースティックverが存在するのです。
あれ、これって歌入りverって作ったんだっけかな…20年以上前のお話しなので、作っていた自分でも思い出せなくなっております。
「スペース赤ちゃんのテーマ」ともども、そのうち探してみたいと思います。

それではお聴きください、松来未祐で「ちいさな翼」。

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