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【連載】大石孝次の「音楽な日常」第21回

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夏になると観たくなる映画があります。
「機動警察パトレイバー the Movie」既に28年も経つとは思えないのですが。
とにかくよく出来た内容で、幾重にも重ねられたトラップや仕組みが、一つ一つ解読されていくプロセスを楽しむ大作です。
アニメ映画ではありますが、いわゆるアニメ映画の枠を大きく超えた作品で、後のアニメ映画に大きな影響を与えた作品となっております。

この作品の舞台は1999年の夏。既にその当時描かれていた未来から18年も経ってしまったのですね!
暑い夏に起きた事件と、起きようとする事件に対しどのように挑んでいくのか、更にそこに敵味方の人間模様が複雑に折り重なります。
まだ作品が出来た当時は世の中にパソコンが浸透する前の時代です。
作品の中では近未来を予想しながら、パソコンを駆使して事件に挑む隊員たちの姿がコミカルに描かれております。
真夏の下宿で謎解きに挑むシーンが好きで、それ見たさにこの作品を観ているような気がします。
主人公の一人 遊馬と、先輩の繁のコンビが、あの当時の夏の雰囲気を象徴的に描き出しているんですね。
なんとも他人とは思えないようなリアリティがたまらなくツボなのです。
共感した人も多いかと思います(笑)

夏はあたりまえに昔から暑かったのですが、この映画で描かれている夏はまだ昔の夏の暑さなのだと思いました。
今年の6月の後半から続く暑さは異常です。
それこそ私の少年時代は夏の間に30度を超える日の方が少なったのです。
30度超えの日は正に夏のピークのような日で、光化学スモッグ注意報が発令され、プールにいて目がチカチカしたり喉がゼイゼイした経験は忘れられません。

熱帯夜も珍しかった訳です。
今では毎晩25度超え。最高気温は32度。もっと高いところは35度。
去年も一昨年も暑かったですが、今年は本当に異常なほどの暑さがず〜っと続いているのです。
口では分かっていても、リアルに温暖化していることに気付いてしまいました。
かりに10年で気温が1度上がったとして、言葉ではその意味があまり恐怖に感じないでいるのですが、実際にここ30年での気温差が数度単位で起きているとすると恐怖を感じざるを得ません。

都内では最高気温が35度、体感はプラス5度なので40度! そんな現実に戦慄いたします。
排気ガスの排出や二酸化炭素量などの対策は遅すぎたのです。時すでに遅しなのです。世の車のハイブリッド化は10年遅かったのです。
そこに最強の二酸化炭素排出国が高度成長時代の日本と同じように市民も市民の健康をかえりみず煙を吐き出しているのです。

映画に出てくるレイバーのような人型産業ロボットの開発は物語のようには進んでおりませんが、それに匹敵する産業ロボットは確実に進化しております。
世の中の進歩には目を見張ります。中でも携帯やスマホ、ITなどは日進月歩(これも死語)。
スマホが生まれた時からある世代に、黒電話の話をしても意味が通じない時代になりました。
おじさん世代には007に出てくる小道具が現実になった訳で、知らないうちに自分達もそれに翻弄されているのであります。
そんな気持ちで1989年の作品に描かれた1999年の未来の東京を2017年に観るという、複雑で単純な未来の楽しみ方が出来るようになったのです。

ずいぶんと久し振りにこの作品が観たくなったのですが、LDでしか持っていないので(LDで観るのが面倒くさいのです)いまさらながらDVDを購入しました(BDではなく)。
アマゾンで購入したのですが、二十数年前、まだアマゾンが日本上陸する前のことです。
アメリカ国内で一気にシェアを広めていったアマゾンのドキュメンタリーを観て、その利便性に「すごいな〜」と感心しておりました。
でも狭い日本にはここまでする必要性はないだろうと思っていたのですが(オタク産業はいち早くマネをしていました)世界一のオタク国家では想像以上にニーズがあったのですね。
こんな小国で何もかもハイスピードで独自進化していく日本。
今、パトレイバー the Movieを観ると、こんな風に進化をした現代に「せまい日本そんなに急いでどこへ行く」という懐かしいフレーズを思い出さずにはいられません。

こんな気分になると、いささかのんびりゆっくりしていた時代を生き急いだ若者たち、学生運動や安保の時代に歌われた名曲が頭の中をグルグルと巡ります。
高田渡「生活の柄」
たまには、草に埋もれて寝るのもいいかもしれませんね。

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